自治体別 / 中核市
鳥取市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
鳥取市と松江市は、平均年齢が43.2歳と43.1歳。0.1歳しか違いません。
地域手当も、どちらも0%です。
それでも総額では松江市が5,714円上回り、国ベースでは鳥取市が7,955円上回ります。見る数字を変えると、順序が入れ替わります。
鳥取市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、鳥取市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 鳥取市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 96.8 |
| 平均年齢 | 43.2歳 |
| 平均給料月額 | 319,800円 |
| 諸手当月額 | 68,145円(中核市62市で下から13番目) |
| 平均給与月額 | 387,945円(中核市62市で下から13番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 350,042円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
松江市と並べる(地域手当は同率0%)
| 項目 | 鳥取市 | 松江市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 96.8 | 98.1 | 1.3ポイント |
| 平均年齢 | 43.2歳 | 43.1歳 | 0.1歳 |
| 平均給料月額 | 319,800円 | 318,100円 | 1,700円 |
| 諸手当月額 | 68,145円 | 75,559円 | 7,414円 |
| 平均給与月額 | 387,945円 | 393,659円 | 5,714円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 350,042円 | 342,087円 | 7,955円 |
| 地域手当 | 0% | 0% | 同率 |
読みどころが3つあります。
1つめ。指数は松江市が1.3ポイント高いのに、補正前の給料月額では鳥取市が1,700円上回ります。年齢は0.1歳差なので、年齢では説明できません。指数は年齢と学歴の構成を補正した数字なので、補正の前と後で順序が変わります。
2つめ。総額では松江市が5,714円上回ります。諸手当が7,414円厚いためです。
3つめ。国ベースでは、鳥取市が7,955円上回ります。総額とは逆の順序です。
同じ2市が、3通りに並ぶ
- 指数:松江98.1 > 鳥取96.8
- 総額:松江393,659 > 鳥取387,945
- 国ベース:鳥取350,042 > 松江342,087
地域手当は同率で、年齢は0.1歳差。それでも、見る数字を変えると並び方が変わります。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は鳥取県職員の転職に、条件がほぼ一致する市は松江市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 条件の違う区域を同じ計画で扱う | 事業企画、エリア戦略 |
| 移住・定住の受入と支援 | 採用企画、人材紹介 |
| 農林業の担い手の確保 | 調達、産地開発、人材支援 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「効率の悪い場所を、効率の悪いまま支える」実務
鳥取市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
山村振興法第1条は、この法律が、農林水産物の供給、国土の保全、水源の涵養、生物の多様性の確保その他の自然環境の保全、地球温暖化の防止、良好な景観の形成、文化の伝承等に重要な役割を担つている山村の産業基盤及び生活環境の整備等の状況に鑑み、その振興に関する基本理念と目標を定め、山村の自立的かつ持続的な発展を促進するものだとしています。
注目してほしいのは、条文の前半が「山村が担っている役割」の列挙から始まることです。
支える理由を、先に書いてある。
人口が少なく、面積が広く、道が長い。一人あたりで見れば、どうしても費用がかさむ区域です。それでも支える理由として、国土の保全、水源、多様性、景観、文化の伝承が並べられています。
実務は、次のような形になります。
- 市域のなかに、条件がまったく違う区域がある
- 同じ制度を当てはめると、どちらかに合わない
- 効率だけで見れば、集約したほうがよい
- 集約すれば、いま住んでいる人の生活が変わる
- そして、集約しても管理する土地は残ります
「効率の悪い部分を、効率の悪いまま維持する理由を説明する」仕事です。
企業でも、同じ構造の問題があります。
売上の小さい拠点、手のかかる少数の顧客、採算の合わない商品。数字だけで見れば切るべきものが、必ずあります。ところが切ったあとに何が失われるかは、数字に出ていません。技術、取引の入口、人のつながり、将来の芽。
そして多くの企業で、この説明ができません。財務は採算を示します。現場は「大事だから」としか言えない。「なぜこれを維持するのか」を、数字と数字以外の両方で説明できる人がいません。だから、残すか切るかが感覚で決まります。
求人票では、経営企画、事業企画、エリア戦略、購買、事業再編といった名前で書かれています。
書くときのこつは、地区や制度の名前を出さないことです。維持する理由を何で説明したか、効率だけで判断しなかった根拠は何か、それでも縮小した部分はどこか、そして縮小したあと何を残したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
鳥取で、どの経験が値になるか
1. 採算に合わないものを維持する理由を説明した経験
数字と、数字以外の両方で説明する。この説明ができる人は、企業の中にほとんどいません。
2. 条件の違う区域を同じ計画で扱った経験
市街地と中山間地。同じ制度がどちらにも合わない状況を扱った経験は、広域を担当する職務でそのまま効きます。
3. それでも縮小した部分を決めた経験
全部は維持できません。どこを縮小したかと、その後に何を残したかが値になります。
4. 人を呼び込む実務
移住、定住、担い手の確保。来てもらう側の事情を知っていることは、採用と人材の仕事で直接効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
鳥取市は山陰の東部にあり、鳥取県内や但馬地域を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。移動に時間がかかる地域ほど、リモート可の求人は選択肢として大きくなります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○振興事業を担当」では読み手に何も残りません。維持する理由を何で説明し、それでもどこを縮小したか。
縮小した話を書く
維持した話だけを並べると、判断していないように読めます。縮小した判断とその後のほうが、基準を持っていた証明になります。
規模を必ず書く
市の人口、市域の面積、対象となる集落や施設の数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
距離が長く利用者が少ない施設の維持は、扱える人が限られる
道路、水道、集落排水。延長あたりの利用者が少ない施設を、限られた費用で維持するという条件の計画は、経験者が多くありません。同じ条件を抱える事業者から直接求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。施設や事業の維持に関わったなら、一人あたりや延長あたりの費用、利用者数、維持にかかる額、縮小による差で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 鳥取市の一般行政職はラスパイレス指数96.8、平均給与月額387,945円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 松江市とは地域手当が同率0%、平均年齢が0.1歳差です
- 指数は松江市が1.3ポイント高いのに、補正前の給料月額では鳥取市が1,700円上回ります
- 総額では松江市が5,714円上、国ベースでは鳥取市が7,955円上。見る数字で並びが変わります
- 諸手当は総額の17.6%で下から13番目。去年の数字が翌年もほぼそのままという読み方がしやすい水準です
- 採算に合わないものを維持する理由を説明した経験は、企業でほとんど誰も持っていません(山村振興法1条)
よくある質問
松江市と条件がほぼ同じなのに、順序が入れ替わるのはなぜですか
見ている範囲が違うからです。指数では松江市が1.3ポイント上、総額でも松江市が5,714円上、国ベースでは鳥取市が7,955円上。さらに補正前の給料月額では鳥取市が1,700円上回ります。地域手当は同率0%、平均年齢は0.1歳差なので、条件では説明できません。条件を揃えるほど、どの数字で見るかだけが結果を決めるようになります。
諸手当が薄いことは、不利になりますか
比較の基準としては、むしろ使いやすいほうです。鳥取市の諸手当は総額の17.6%で中核市62市の下から13番目。去年の源泉徴収票の支払金額が翌年もほぼそのままという読み方がしやすく、求人票の想定年収と並べて比べられます。2年ぶんでも並べれば、ぶれ幅の小ささを自分で確認できます。
移動に時間がかかる地域にいることは、転職で不利ですか
近年はリモート可、週数日出社の求人が増えていて、むしろ距離のある地域ほど選択肢が広がります。ただし勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。職種で絞ってから勤務形態と担当エリアを見る順序に変えてください。