自治体別 / 中核市
豊中市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
豊中市は、同じ大阪府内の3市のなかで平均年齢も平均給料月額も最も高い市です。
ところが諸手当は最も薄い。102,734円で、高槻市より14,866円少ない数字です。
その結果、総額は高槻市に1,866円だけ届きません。給料月額では13,000円上回っているのにです。
豊中市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、豊中市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 豊中市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.7 |
| 平均年齢 | 43.2歳 |
| 平均給料月額 | 325,500円 |
| 諸手当月額 | 102,734円(中核市62市で14番目) |
| 平均給与月額 | 428,234円(中核市62市で9番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 391,679円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 12% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 12% |
大阪府内の3市を並べる
| 項目 | 豊中市 | 高槻市 | 東大阪市 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.7 | 96.4 | 100.3 |
| 平均年齢 | 43.2歳 | 42.3歳 | 41.8歳 |
| 平均給料月額 | 325,500円 | 312,500円 | 314,400円 |
| 諸手当月額 | 102,734円 | 117,600円 | 103,079円 |
| 平均給与月額 | 428,234円 | 430,100円 | 417,479円 |
| 地域手当 | 12% | 15% | 10% |
豊中市は、年齢でも給料月額でも3市の先頭です。
それでも諸手当が3市でいちばん薄く、総額では高槻市に1,866円届きません。
高槻市との差を分解する
| 項目 | 豊中市 | 高槻市 | 差 |
|---|---|---|---|
| 平均年齢 | 43.2歳 | 42.3歳 | 0.9歳 |
| 平均給料月額 | 325,500円 | 312,500円 | 13,000円 |
| 諸手当月額 | 102,734円 | 117,600円 | 14,866円 |
| 平均給与月額 | 428,234円 | 430,100円 | 1,866円 |
| 地域手当 | 12% | 15% | 3ポイント |
給料月額13,000円の差と、諸手当14,866円の差が、ほぼ打ち消し合います。残るのは1,866円だけです。
「年齢が高く給料表で積み上げる側」と「手当で埋める側」が、同じ総額に別の道筋で到達している形です。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、府内の数字は大阪府職員の転職に、同じ府内の中核市は高槻市職員の転職と東大阪市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 住宅団地の再生・建替えの計画 | 用地開発、アセットマネジメント |
| 人口構成の変化を読んだ施設配置 | 事業企画、データ分析 |
| 学校・保育・高齢者施設の需給調整 | 施設企画、人員計画 |
| 空港周辺の環境対策と調整 | 渉外、環境管理 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「一斉に入った人が、一斉に歳を取る」を扱う実務
豊中市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
新住宅市街地開発法第1条は、この法律が、住宅に対する需要が著しく多い市街地の周辺の地域における住宅市街地の開発に関し、新住宅市街地開発事業の施行その他必要な事項を規定することにより、健全な住宅市街地の開発及び住宅に困窮する国民のための居住環境の良好な相当規模の住宅地の供給を図るものだとしています。
「相当規模」という言葉が入っています。
まとまった広さを、一度に、計画的に開発する。それが、この仕組みの前提です。
そして一度に作ると、一度に人が入ります。同じ時期に、似た年代の世帯が、まとまって入居する。
その結果、何十年かあとに全員が同じように歳を取ります。
- 開発から10年は、学校も公園も足りない
- 20年から30年は、施設がちょうど釣り合う
- 40年を超えると、学校が余り、別の施設が足りなくなる
- 建物も設備も、同じ時期に一斉に更新期を迎える
- そして更新の費用も、一度に立ち上がります
「一度に作ったものは、一度に古くなる」という構造です。
企業でも、まったく同じ問題が起きています。
一時期に大量採用した世代、同じ年に導入した設備、まとめて開いた拠点。入れたときは効率的でも、出ていくときも一度に出ていきます。
そして多くの企業で、この山が読まれていません。人事は今年の採用数を見ます。財務は今期の投資を見ます。ところが「10年後、15年後に何が一度に来るか」を数えて、平準化する手を先に打つ役割が、誰にも割り当てられていません。気付くのは、退職と更新が重なった年です。
求人票では、人員計画、事業企画、アセットマネジメント、設備投資計画、データ分析といった名前で書かれています。
書くときのこつは、団地や施設の名前を出さないことです。何年後に何が重なると読んだか、平準化のために何を前倒しし何を遅らせたか、その判断を誰にどう説明したか、そして読みが外れた部分はどこか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
豊中で、どの経験が値になるか
1. 何年後に何が重なるかを数えた経験
人口構成、施設の更新時期、退職の山。先の山を読んで平準化した経験は、企業の人員計画と設備投資計画でそのまま必要とされます。
2. 前倒しと先送りを組み合わせた経験
全部を同じ年にやらないために、何をずらすか。この設計ができる人は多くありません。
3. 余った施設を扱った経験
足りないものを作るより、余ったものを扱うほうが難しい。統廃合や転用の経験は、拠点の再編で直接効きます。
4. 空港周辺の環境対策と調整
先にいる側と、後から増える側のあいだを長期にわたって整えた経験は、渉外で効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
府内・府外の求人を見るときに
豊中市は大阪市に近く、大阪市内の求人が日常的な選択肢に入ります。空港があるため、関西圏の外を担当エリアとする求人も現実的です。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○再生計画を担当」では読み手に何も残りません。何年後に何が重なると読み、何を前倒しし、何を遅らせたか。
読みが外れた部分を書く
先を読む仕事では、外れる部分が必ずあります。そこを書くと、読んでいたこと自体が伝わります。外れを隠すと、読んでいなかったように見えます。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる住戸数や施設数、更新にかかる費用、期間。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
住みながらの建替えと改修は、扱える人が限られる
仮住まい、工区の分割、騒音の時間帯、動線の確保。人が住んでいる状態で工事を進めるという条件の工程管理は、経験者が多くありません。集合住宅の改修を扱う企業から直接求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。施設や住宅の計画に関わったなら、対象の戸数や施設数、更新にかかる費用、平準化の効果で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 豊中市の一般行政職はラスパイレス指数99.7、平均給与月額428,234円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均年齢43.2歳、給料月額325,500円は、どちらも府内3市で最も高い数字です
- それでも諸手当102,734円は3市で最も薄く、総額は高槻市に1,866円届きません
- 給料月額13,000円の差と、諸手当14,866円の差がほぼ打ち消し合っています
- 諸手当は総額の24.0%で府内3市では最も薄い。条件で動く部分が相対的に小さい水準です
- 10年後15年後に何が一度に来るかを数えて平準化する役割は、企業で空いています(新住宅市街地開発法1条)
よくある質問
年齢も給料月額も府内3市で最高なのに、総額が高槻市に届かないのはなぜですか
諸手当です。豊中市102,734円に対し、高槻市117,600円。14,866円の差があります。給料月額では豊中市が13,000円上回るので、2つがほぼ打ち消し合って総額の差は1,866円に収まります。地域手当も豊中市12%、高槻市15%で3ポイントの開きがあります。「年齢が高く給料表で積み上げる側」と「手当で埋める側」が、同じ総額に別の道筋で到達している形です。
諸手当が府内3市で最も薄いことは、不利になりますか
比較の基準としては、むしろ使いやすいほうです。諸手当が厚い団体ほど、担当業務や家族構成や役職で年ごとの振れ幅が出ます。豊中市は総額の24.0%なので、去年の源泉徴収票の支払金額が翌年もある程度そのままという読み方がしやすくなります。それでも複数年ぶん並べて、自分のぶれ幅は確かめてください。
20年先の計画を担当しましたが、読みが当たったか確かめられませんでした
書ける材料は、結果ではなく判断のほうにあります。何年後に何が重なると読んだか、平準化のために何を前倒しし何を遅らせたか、誰にどう説明したか。企業でも大量採用した世代や一斉導入した設備の山が読まれておらず、退職と更新が重なった年に初めて気付きます。読んだ山、前倒し、先送り、そして外れた部分を書いてください。