自治体別 / 中核市
和歌山市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
和歌山市、鳥取市、松江市。この3市は、平均年齢が43.1歳から43.4歳の0.3歳の幅に収まります。
地域手当は、和歌山市6%、鳥取市0%、松江市0%です。
年齢がここまで揃っていると、地域手当が総額にどう効くかが、まっすぐ見えます。
和歌山市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、和歌山市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 和歌山市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.2 |
| 平均年齢 | 43.4歳 |
| 平均給料月額 | 322,300円 |
| 諸手当月額 | 92,425円 |
| 平均給与月額 | 414,725円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 367,834円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 6% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 6% |
年齢がほぼ同じ3市を並べる
| 項目 | 和歌山市 | 鳥取市 | 松江市 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.2 | 96.8 | 98.1 |
| 平均年齢 | 43.4歳 | 43.2歳 | 43.1歳 |
| 平均給料月額 | 322,300円 | 319,800円 | 318,100円 |
| 諸手当月額 | 92,425円 | 68,145円 | 75,559円 |
| 平均給与月額 | 414,725円 | 387,945円 | 393,659円 |
| 地域手当 | 6% | 0% | 0% |
年齢の幅は0.3歳、給料月額の幅は4,200円。ここまでは、3市ともほとんど同じです。
差がつくのは諸手当です。和歌山市92,425円に対し、鳥取市68,145円。24,280円の差があります。
そして給料月額322,300円に対する地域手当6%はおよそ19,338円。諸手当の差24,280円のうち、8割がこれで説明できます。
残るおよそ4,940円が、時間外・住居・扶養・管理職手当などの積み上がりの差です。
地域手当0%の団体との比べ方
中核市62市のうち、地域手当が0%の市は24市あります。
0%の団体と比べるときは、差の大半が地域手当だと分かったうえで見たほうが正確です。逆に言えば、地域手当を除いた部分では、3市の差はほとんどありません。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は和歌山県職員の転職に、年齢がほぼ同じ市は鳥取市職員の転職と松江市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 避難の計画と体制の整備 | 事業継続計画、リスク管理 |
| 区域指定と建築・開発の制限 | 規制対応、用地開発、渉外 |
| 防護施設の整備と維持 | インフラ企画、施設管理 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「守り切れない前提で、逃げる側を設計する」実務
和歌山市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
津波防災地域づくりに関する法律第1条は、この法律が、津波による災害を防止し、又は軽減する効果が高く、将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域の整備、利用及び保全を総合的に推進するため、市町村による推進計画の作成、津波防護施設の管理、津波災害警戒区域における警戒避難体制の整備、津波災害特別警戒区域における一定の開発行為及び建築物の建築等の制限について定めるものだとしています。
注目してほしいのは、施設の整備と、避難体制と、建築の制限が、一つの法律に並んでいることです。
堤防だけで守るという考え方を、この法律は取っていません。
- 施設を作る。それでも超える規模がある
- 超える前提で、逃げる体制を整える
- 逃げる時間を確保するために、区域を指定する
- 区域を指定すると、そこでの建築と開発に制限がかかる
- そして制限を受ける側は、いま実際に住み、商売をしています
「起きるかどうか分からないことのために、いまの財産の使い方を制限する」という仕事です。
しかも制限した結果、その区域から人が減れば、地域そのものが弱ります。強く制限すればよいわけでもありません。
企業でも、同じ構造の判断があります。
事業継続計画、情報セキュリティ、品質の手順。「起きる前提」で備えるほど、日々の業務は不便になります。そして起きなければ、不便だけが残ります。
そして多くの企業で、この線引きが決まりません。管理部門は「万一に備えて」と言い、現場は「業務が回らない」と言う。ところが「どの規模までは備え、どこからは受け入れるか」を決めた人がいません。だから対策は中途半端になり、どちらの側も納得しないまま運用されます。
求人票では、リスク管理、事業継続計画、内部統制、規制対応、施設管理といった名前で書かれています。
書くときのこつは、区域や計画の名前を出さないことです。どの規模までを守る前提にしたか、そこを超える場合に何を用意したか、制限を受ける側にどう説明したか、そして制限と地域の維持をどう両立させようとしたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
和歌山で、どの経験が値になるか
1. 「どこまで守り、どこからは受け入れるか」を決めた経験
この線引きは、企業でほとんど誰も決められません。決めた経験と、その説明のしかたが値になります。
2. いまの財産に制限をかけた経験
住んでいる人、商売をしている人。将来の危険を理由に、いまの自由を制限する交渉は、めったに経験できません。
3. 逃げる側を設計した経験
施設ではなく人の動きを設計する。事業継続計画の考え方そのものです。
4. 港と産業を抱える都市の実務
漁業、製造業、物流。先に使っている側との調整は、用地開発と渉外に直結します。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
和歌山市は大阪への通勤圏にあり、関西圏の求人が現実的な選択肢に入ります。和歌山県内や紀北地域を担当エリアとする求人も多くあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○計画を担当」では読み手に何も残りません。どの規模までを守る前提にし、超える場合に何を用意したか。
制限に反対された話を書く
区域の指定には、必ず反対が出ます。そこで何を変えたかを書くと、交渉の実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、区域の面積、対象となる建物や世帯の数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
海に面した構造物と、浸水を前提にした建物の設計は、扱える人が限られる
想定される高さ、浮力、漂流物、避難のための階と経路。浸水することを織り込んで建てるという設計は、経験者が多くありません。沿岸部に施設を持つ企業から直接求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。施設の整備や区域の指定に関わったなら、事業費、対象の規模、効果の範囲、優先順位の付け方で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 和歌山市の一般行政職はラスパイレス指数99.2、平均給与月額414,725円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 鳥取市・松江市とは、平均年齢が0.3歳の幅、給料月額が4,200円の幅に収まります
- 総額の差26,780円(鳥取市との比較)のうち、およそ19,338円が地域手当6%ぶんです
- 中核市62市のうち、地域手当0%の市は24市あります
- 諸手当は総額の22.3%。3年ぶん並べてぶれ幅を確認してください
- 「どこまで守り、どこからは受け入れるか」の線引きは、企業でほとんど誰も決められません(津波防災地域づくり法1条)
よくある質問
鳥取市・松江市との差は、何で説明できますか
ほとんどが地域手当です。3市は平均年齢が0.3歳の幅、給料月額が4,200円の幅に収まります。総額の差26,780円(鳥取市との比較)のうち、給料月額322,300円に対する地域手当6%=およそ19,338円が8割を占めます。残りのおよそ4,940円が、時間外・住居・扶養・管理職手当などの積み上がりの差です。
地域手当が0%の団体と比べるときは、どう見ればいいですか
差の大半が地域手当だと分かったうえで見てください。中核市62市のうち、地域手当0%の市は24市あります。地域手当を除いた部分では、3市の差はほとんどありません。そして求人票の想定年収と比べるときは、団体の平均ではなく自分の源泉徴収票の支払金額を使ってください。
起きなければ意味が分からない仕事でした
起きないことを目指す仕事は、すべてそうなります。書ける材料は判断のほうにあります。どの規模までを守る前提にし、超える場合に何を用意し、制限を受ける側にどう説明したか。企業でも「どの規模までは備え、どこからは受け入れるか」を決めた人がいないので、対策が中途半端なまま運用されています。反対されて何を変えたかも入れてください。