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山口市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
山口市の平均給料月額337,600円は、類似団体類型区分が同じ35団体のなかで2番目に高い数字です。
ところが平均給与月額415,197円は、24番目です。
地域手当が0%だからです。そして0%であることには、転職の判断で効く別の意味があります。この回で、そこを開きます。
山口市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、山口市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 山口市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.4 |
| 平均年齢 | 44.0歳(35団体で2番目に高い) |
| 平均給料月額 | 337,600円(35団体で2番目に高い) |
| 諸手当月額 | 77,597円 |
| 平均給与月額 | 415,197円(35団体で24番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 363,007円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
諸手当は総額の18.7%を占めます。
諸手当が、まるごと「人ごとに違う部分」になります
地域手当は給料月額に割合を掛けるだけなので、役職にも時間外の量にもよりません。誰にでも同じ割合で付きます。
山口市にはその部分がありません。
| 項目 | 山口市 |
|---|---|
| 諸手当月額 | 77,597円 |
| 地域手当(概算) | 0円 |
| 地域手当以外(概算) | 77,597円 |
| 総額に占める割合 | 18.7% |
77,597円のすべてが、時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。
同じ山口県の宇部市と並べる
宇部市も地域手当0%で、平均給料月額346,400円は35団体で最も高く、平均年齢45.8歳も最も高い数字です。
| 項目 | 山口市 | 宇部市 |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 44.0歳 | 45.8歳 |
| ラスパイレス指数 | 99.4 | 100.3 |
| 平均給料月額 | 337,600円 | 346,400円 |
| 地域手当(実支給) | 0% | 0% |
| 諸手当月額 | 77,597円 | 71,143円 |
| 平均給与月額 | 415,197円 | 417,543円 |
給料月額では宇部市が8,800円上回ります。ところが諸手当では山口市が6,454円上回ります。
結果として、総額の差は2,346円しかありません。
年齢が高いほうが給料月額が高く、そのぶん諸手当が薄い。60回目の岸和田市の回で見た打ち消し合いが、地域手当0%の2団体でも起きています。
県内の数字は山口県職員の転職に、同じ区分の市は徳島市職員の転職と津市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
山口市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 土地利用の調整、土地取引の届出 | 用地開発、権利調整、規制対応 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 県庁・国との協議、要望 | 渉外、アライアンス、渉外営業 |
| 合併後の制度統一、例規の整理 | 制度統合、規程整備 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「同じ土地に、いくつもの計画が重なる」実務
山口市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
国土利用計画法第1条は、この法律が、国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めるとともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他土地利用を調整するための措置を講ずることにより、国土形成計画法による措置と相まつて、総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的とすると定めています。
注目してほしいのは「土地利用を調整するための措置」という言い方です。
この法律は、土地の使い方そのものを決めていません。
都市計画法、農業振興地域の整備に関する法律、森林法、自然公園法。同じ土地に、それぞれ別の目的を持つ法律の区域が重なります。
重なったとき、どれを優先するのか。その調整のための枠を用意するのが、この法律の役割です。
実務は、次のような形になります。
- 1枚の土地に、いくつの区域がかかっているかを調べる
- 区域ごとに、担当する課が違う
- それぞれの課は、自分の法律の範囲でしか答えられない
- 重なりを1枚の図にして、どう扱うかを決める
- 決めたあとも、上位の計画が変われば組み直す
「別々の理屈で引かれた線を、1枚の図に重ねる」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
同じ顧客を複数の部署が担当する、同じ設備が複数の規格の対象になる、同じデータが複数の規程で縛られる、同じ人が複数のプロジェクトに属する。どれも、単独で見れば筋が通っています。
そして多くの企業で、こうなります。それぞれの部署が自分の範囲でだけ正しい答えを出します。重なったところで矛盾が出ても、誰の担当でもありません。現場は、どちらに従えばいいのか分からないまま動きます。
重なりを1枚にまとめる人がいないだけです。
求人票では、業務設計、内部統制、プロジェクト推進、規制対応、権利調整といった名前で書かれています。
書くときのこつは、地区名や個別の案件を書かないことです。重なりをどうやって洗い出したか、どの順で優先すると決めたか、担当課の間の食い違いをどう詰めたか、そして上位の計画が変わったときどう組み直したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
山口で、どの経験が値になるか
1. 重なりを1枚にまとめた経験
別々の理屈で引かれた線を、同じ図に載せる。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 部署をまたいだ食い違いを詰めた経験
どちらも自分の範囲では正しい。そこを詰めた経験が値になります。
3. 上位の計画の変更に合わせて組み直した経験
一度作って終わりにしない。この経験が強く読まれます。
4. 広い市域を1つの計画で扱った経験
市街地も中山間地も同じ基準で扱う。広域を担当する職務で効きます。
県内・県外の求人を見るときに
山口市は山口県の県庁所在地で、県内や中国地方を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「土地利用の調整を担当」では読み手に何も残りません。重なりをどう洗い出し、どの順で優先すると決めたか。
食い違った場面を書く
担当課どうしで答えが割れます。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、市域の面積、かかっている区域の数、届出や協議の件数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、補償業務管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
中山間地の設計は、扱える人が限られる
斜面、集落、道路の幅員、上下水道の延長。人口が少ない区域でインフラを組んだ経験は、同じ条件の地域を持つ企業から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。計画や許認可に関わったなら、市域の面積、届出や協議の件数、事業費、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 山口市の一般行政職はラスパイレス指数99.4、平均給与月額415,197円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均給料月額337,600円は同じ区分の35団体で2番目に高い数字。ところが総額は24番目です
- 地域手当が0%なので、諸手当77,597円のすべてが人ごとに違う部分になります(総額の18.7%)
- 給料月額に連動して自動的に動く部分がないので、去年の支払金額が翌年もほぼそのまま使えます
- 同じ山口県の宇部市とは、給料月額で8,800円下回るのに諸手当で6,454円上回り、総額の差は2,346円です
- 「別々の理屈で引かれた線を、1枚の図に重ねる」経験は、企業でほとんど誰も持っていません(国土利用計画法1条)
よくある質問
給料月額が35団体で2番目なのに、総額が24番目なのはなぜですか
地域手当が0%だからです。総額で山口市を上回る団体の多くは、地域手当が6%から16%あります。給料表の高さと、そこに乗る部分は別に決まります。同じことは宇部市にも起きていて、給料月額が35団体で最も高いのに総額は23番目です。
地域手当0%は、不利ですか
転職の判断では、むしろ扱いやすい側です。諸手当のすべてが人ごとに違う部分なので、給料月額に連動して自動的に動く部分がありません。去年の源泉徴収票の支払金額が翌年もほぼそのまま使え、求人票の想定年収とそのまま並べて比べられます。
諸手当18.7%のうち、自分に関係するのはどこですか
全部です。地域手当が0%なので、77,597円のすべてが時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。同じ山口市の職員でも、ここで差が付きます。まず複数年ぶんの支払金額を並べてください。