制度とお金 / 給与・手当
休日勤務手当と代休の関係
選挙の投開票、成人式などの行事、年末年始の窓口や災害対応。公務員は祝日や年末年始にも勤務を命じられることがあります。そのとき「手当が付く」と聞く場合もあれば、「代休を取って」と言われる場合もあります。どちらになるのかは、実は条文の組み立てで決まっています。
この記事では、休日勤務手当(国では「休日給」)の根拠、代休日との関係、土日の出勤で使われる週休日の振替との違い、民間の休日割増との違いを整理します。
地方公務員の休日勤務手当と代休は、各自治体が条例と規則で定めます。この記事では特定の自治体の割合や手続きを示しません。自分の扱いは、所属の給与条例・勤務時間条例と規則、人事担当課で確かめてください。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。
休日勤務手当の根拠——地方自治法第204条
地方自治法第204条第2項は、条例で支給できる手当として休日勤務手当を挙げ、時間外勤務手当や夜間勤務手当とは別に並べています。同条第3項で、額と支給方法は条例で定めることとされています。
地方公務員には労働基準法の多くの規定が適用されます。地方公務員法第58条第3項は職員に適用しない労働基準法の規定を挙げていますが、休日を定めた第35条と割増賃金を定めた第37条はその中に入っていません。
まず「休日」と「週休日」を分ける
公務員の勤務時間の制度では、休日と週休日は別のものです。
| 区分 | 国の条文 | 意味 |
|---|---|---|
| 週休日 | 勤務時間法第6条第1項 | 日曜日と土曜日。そもそも勤務時間を割り振らない日 |
| 休日 | 勤務時間法第14条 | 祝日法による休日と、12月29日から翌年1月3日までの年末年始の休日。勤務時間は割り振られているが、勤務することを要しない日 |
休日は、勤務時間が割り振られたうえで勤務を要しない日なので、休んでも給与は減りません(給与法第15条)。この違いが、手当と代休の扱いの違いにつながります。
休日に勤務したとき——休日給(給与法第17条)
国では、祝日法による休日等と年末年始の休日等に、正規の勤務時間中に勤務することを命じられた職員に、勤務した全時間について、勤務1時間当たりの給与額に割合を掛けた額を休日給として支給するとされています(給与法第17条)。その割合は100分の135です(人事院規則9-43第3条)。
祝日が土曜日・日曜日に重なった場合の扱いも、規則で定められています。週休日に当たる祝日法による休日の直後の勤務日等を、休日給が支給される日としています(人事院規則9-43第1条)。
勤務1時間当たりの給与額は、俸給の月額と地域手当などの月額をもとに計算します(給与法第19条)。単価の出し方は時間外勤務手当の記事にまとめています。
代休日を指定されたとき——勤務時間法第15条
休日の勤務には、もう1つの扱いがあります。代休日です。
勤務時間法第15条第1項は、休日に割り振られた勤務時間の全部について勤務を命じた場合、その休日の前に、休日後の勤務日等を代休日として指定できるとしています。代休日を指定された職員は、休日の全勤務時間を勤務したときは、代休日に勤務することを要しないとされています(同条第2項)。
人事院規則15-14第17条は、手続きの条件を次のように定めています。
- 代休日は、勤務を命じた休日から8週間後の日までの間にあり、その休日と同じ時間数の勤務時間が割り振られた勤務日等から指定する(第1項)
- 職員があらかじめ代休日の指定を希望しないと申し出た場合は、指定しない(第2項)
ここで給与法第15条が効いてきます。同条は、代休日を指定されて休日の全勤務時間を勤務した職員については、「祝日法による休日等」「年末年始の休日等」をその休日に代わる代休日と読み替えています。休日給は「祝日法による休日等」などに勤務した場合に付く手当なので、条文の組み立てからは、代休日を指定された場合は、休日に勤務した分を手当ではなく代休日の休みで受け取る形になります。代休日を希望しないと申し出れば指定されず、休日に勤務した分は休日給の扱いになります。
土日に勤務したとき——週休日の振替
土曜日・日曜日(週休日)の勤務は、休日とは別の仕組みです。勤務時間法第8条第1項は、週休日に特に勤務を命じる必要がある場合、一定の期間内の勤務日を週休日に変更し、その勤務時間を勤務が必要な日に割り振ることができるとしています。これが週休日の振替です。その期間は、勤務が必要な日の4週間前の日から8週間後の日までとされています(人事院規則15-14第6条第1項)。
振替をしないまま週休日に勤務した場合は、正規の勤務時間が割り振られていない日の勤務として、超過勤務手当の100分の135の区分に当たります(給与法第16条第1項第2号、人事院規則9-97第2条第2号)。
| 勤務した日 | 休みで受け取る仕組み | 手当で受け取る場合 |
|---|---|---|
| 祝日・年末年始(休日) | 代休日の指定(勤務時間法第15条) | 休日給 100分の135(給与法第17条) |
| 土日(週休日) | 週休日の振替(勤務時間法第8条) | 超過勤務手当 100分の135(給与法第16条) |
なお、国の条文では、休日給と超過勤務手当は管理監督職員等には適用しないとされ(給与法第19条の8第2項)、週休日や休日に勤務した場合は管理職員特別勤務手当の対象になります(第19条の3)。
転職するとどうなるか
1. 民間の休日割増の最低ラインは3割5分
民間企業では、労働基準法第35条が毎週少なくとも1回(または4週間で4日以上)の休日を与えることを定め、その休日に労働させた場合は、第37条と政令により3割5分以上の割増賃金が必要とされています。率の水準は、国の休日給の100分の135と近い数字です。
2. 「休日」の範囲が会社ごとに違う
労働基準法の割増の対象になるのは、第35条の休日に労働させた場合です。土日休みの会社でも、どちらを法律上の休日とするか、祝日を休日にするかどうかは就業規則で決まります。祝日が出勤日の会社もあります。転職先の年間休日数と、祝日・年末年始の扱いを、労働条件通知書と就業規則で確かめてください。
3. 振替休日と代休の扱いは就業規則で確かめる
民間でも「振替休日」「代休」という言葉が使われます。事前に休日と勤務日を入れ替えるのか、休日に働いた後に休みを与えるのかで、割増賃金の扱いが変わるとされるのが一般的です。言葉の使い方は会社によって違うので、入社前に就業規則で確かめておくと安心です。
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手続きと確認のしかた
確認するとよいのは次の点です。
- 代休日の指定の時期:国では休日の前に指定するとされている(勤務時間法第15条第1項)。所属の手続きで、いつまでに誰が指定するか
- 代休日の期限:国では休日から8週間後の日まで(人事院規則15-14第17条第1項)
- 代休日を希望しない申出:国ではあらかじめ申し出れば指定されない(同条第2項)。申出の様式と時期
- 週休日の振替の期間:国では4週間前から8週間後まで(同規則第6条第1項)
退職を考えている場合は、退職日までに代休日や振替の日を取り切れるかも確かめておきたい点です。代休日は休日給に代わる休みなので、取れないまま退職日を迎えたときの扱いは、所属の条例・規則と人事担当課で確かめてください。年次休暇の残りと合わせた退職日の決め方は年次休暇の記事にまとめています。
誤解されやすい点
「祝日に出勤すれば、手当も代休も両方もらえる」と思い込む
国の条文の組み立てでは、代休日を指定されて休日の全勤務時間を勤務した場合、休日の扱いが代休日に移ります(給与法第15条)。手当と代休は、どちらかで受け取る関係です。
「土日の出勤にも代休日がある」と思い込む
勤務時間法第15条の代休日は、祝日法による休日と年末年始の休日についての仕組みです。週休日の勤務は、週休日の振替(第8条)か、超過勤務手当(給与法第16条)の扱いになります。
「代休日はいつでも好きなときに取れる」と思い込む
国では、代休日は休日の前に、休日から8週間後の日までの勤務日等から指定するとされています(人事院規則15-14第17条第1項)。
「半日だけ出勤しても代休日がもらえる」と思い込む
国の代休日は、休日に割り振られた勤務時間の全部について勤務を命じた場合の仕組みです(勤務時間法第15条第1項)。一部だけ勤務した場合は、休日給の扱いになります。
まとめ
- 休日勤務手当は、地方自治法第204条第2項にもとづき条例で支給できる手当の1つ。地方公務員にも労働基準法第35条・第37条が適用される
- 休日(祝日・年末年始)と週休日(土日)は別のもの(勤務時間法第6条・第14条)
- 国では、休日に正規の勤務時間中に勤務すると休日給 100分の135(給与法第17条、人事院規則9-43第3条)
- 休日の全勤務時間を勤務する場合、休日の前に代休日を指定でき、その場合は休日の扱いが代休日に移る。期限は8週間後まで。希望しなければ指定されない(勤務時間法第15条、給与法第15条、人事院規則15-14第17条)
- 土日の勤務は週休日の振替か超過勤務手当の扱い。転職先では、法律上の休日と祝日の扱い、振替と代休の規程を確かめる
よくある質問
代休日に急に出勤を命じられたらどうなりますか
勤務時間法第15条第2項は、代休日には「特に勤務することを命ぜられるときを除き」勤務を要しないとしています。代休日にも勤務を命じられることがあり得る書き方です。その場合の手当の扱いや、別の日に休めるかどうかは、所属の給与条例・勤務時間条例と規則で確かめてください。
会計年度任用職員にも休日勤務手当や代休はありますか
会計年度任用職員の勤務時間や報酬の扱いは、各自治体の条例と規則で定められています。休日に勤務した場合の報酬の扱いや代休の有無も条例・規則によるので、任用通知書と所属の人事担当で確かめてください。会計年度任用職員の制度は会計年度任用職員の記事にまとめています。
休日勤務手当も共済の掛金や税金の対象になりますか
一般的には、休日勤務手当も給与の一部として、所得税の源泉徴収や共済の掛金の計算の対象になります。休日の勤務が多い月は給与の額が増えるので、源泉徴収される税額も変わるのが一般的な取扱いです。共済の掛金の算定にどの月の給与が使われるかは、所属の共済組合の案内で確かめてください。具体的な税額は扶養の状況などで変わるので、明細と税務署の案内で確認するのが確実です。
出典
- 一般職の職員の給与に関する法律 第15条〜第17条・第19条・第19条の3・第19条の8|e-Gov法令検索
- 人事院規則九―四三(休日給)第1条・第3条|e-Gov法令検索
- 人事院規則九―九七(超過勤務手当)第2条|e-Gov法令検索
- 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律 第6条・第8条・第14条・第15条|e-Gov法令検索
- 人事院規則一五―一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)第6条・第17条|e-Gov法令検索
- 労働基準法 第35条・第37条|e-Gov法令検索
- 労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令|e-Gov法令検索
- 地方自治法 第204条(給料・手当)|e-Gov法令検索
- 地方公務員法 第58条(他の法律の適用除外等)|e-Gov法令検索