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制度とお金 / 年金

国民年金に切り替える場合

「退職から入社まで、2か月あく」。この2か月、年金はどうなるのか。答えは、国民年金の第1号被保険者になり、保険料を自分で納めるです。

公務員でいる間は、厚生年金の保険料が給与から天引きされ、国民年金の部分もその中に含まれていました。退職した翌日から入社の前日までは、その天引きがなくなり、代わりに国民年金の保険料を自分で納めます。額は定額で、納付の期限があり、納められなければ免除や猶予の仕組みがあります。

この記事では、国民年金に切り替わる期間に何が起きるかを、国民年金法の条文と日本年金機構の案内で整理します。年金は個別性が高い分野なので、制度の骨を書きます。自分の場合は、市区町村の窓口と年金事務所で確認してください。手続きの流れは退職時の年金の手続きに書いています。

誰が第1号被保険者になるか

国民年金法第7条第1項は、被保険者を3つに分けています。

種別誰か
第1号被保険者日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、第2号・第3号に当たらない者
第2号被保険者厚生年金保険の被保険者
第3号被保険者第2号被保険者の配偶者で、主として第2号被保険者の収入により生計を維持する20歳以上60歳未満の者

公務員でいる間は、厚生年金の被保険者なので第2号です。退職して厚生年金の被保険者でなくなり、まだ転職先の厚生年金にも入っていなければ、第1号になります。60歳未満であれば、国民年金の加入は義務です。「入らない」という選択はありません。

保険料——定額で、翌月末日まで

国民年金法第87条は、保険料を被保険者期間の各月について徴収すると定め、その額を年度ごとの基準額に保険料改定率を乗じた額としています。日本年金機構の案内によれば、令和8年度(令和8年4月から令和9年3月まで)の保険料は月額17,920円です。

項目内容
額定額。令和8年度は月額17,920円(日本年金機構)
納付の期限納付の対象の月の翌月末日(末日が土日祝日なら翌月最初の金融機関の営業日)
納付の方法納付書、口座振替、前納など。口座振替と前納には割引がある
付加保険料月額400円を上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金が増える(第87条の2)
税納めた保険料は全額が社会保険料控除の対象

額は年度で変わります。退職する年度の額を、日本年金機構のページで確かめてください。

空白が2か月なら、2か月分を納めます。日本年金機構の案内では、月末までに就職しない月が国民年金第1号の期間になり、月の途中で入社すればその時点で第2号被保険者になる、とされています。月の途中で入社した月は、厚生年金の側で数えられるので、その月の国民年金の保険料は要りません。

納められないとき——免除・猶予と、追納

空白の期間に収入がなく、保険料を納めるのが難しい場合、免除や納付の猶予の仕組みがあります。国民年金法第89条以下に、法定の免除、申請による全額の免除、一部の免除、納付の猶予が定められています。所得などの要件があり、申請が要ります。市区町村の窓口で相談してください。

免除や猶予を受けた期間について、後から納めることができるのが追納です。第94条第1項は、厚生労働大臣の承認を受けて、免除や猶予を受けた保険料のうち「十年以内の期間に係るもの」を追納できると定めています。第3項は、追納する額は当該月の保険料の額に政令で定める額を加算した額とし、第4項は、追納が行われた日にその月の保険料が納付されたものとみなすとしています。

転職後に収入が安定してから、10年以内に追納すれば、その月は納付済の期間になります。ただし、経過した期間によっては加算額が付きます。

空白の月が、将来の年金にどう効くか

国民年金の第1号被保険者の期間は、老齢基礎年金の計算に効きます。第27条は、老齢基礎年金の額を、満額に相当する額に、保険料納付済期間の月数(免除の期間は所定の割合で換算)を480で除した数を乗じた額と定めています。480か月(40年)で満額という形です。

空白の月の扱い老齢基礎年金への効き方
納めた納付済期間として、480分の1ずつ額に効く
免除を受けた免除の種類に応じた割合で額に効く(第27条)
猶予を受けた受給資格の期間には数えるが、追納しなければ額には効かない
納めず、免除も猶予も受けなかった(未納)受給資格の期間にも額にも効かない

未納だけは避けてください。納められないなら、免除か猶予の申請をする。申請しておけば、受給資格の期間には数えられ、後から追納もできます。未納は、どちらにも数えられません。

なお、空白の期間は厚生年金の被保険者期間ではないので、老齢厚生年金の側には積まれません。その考え方は受給額への影響の考え方に書いています。

転職するとどうなるか

転職を考えている方にとって、国民年金への切替えで効いてくる点は3つです。

1. 空白の月数分の保険料が、自分の負担で発生する

月額は定額です。空白の月数×月額を、資金計画に入れてください。資金の面は退職手当をあてにした資金計画の考え方に書いています。

2. 配偶者が第3号被保険者なら、配偶者の分も発生する

退職で自分が第2号被保険者でなくなると、配偶者も第3号被保険者の資格を失い、第1号被保険者として保険料が発生します。2人分です。

3. 納められなければ、未納にせず免除か猶予を申請する

申請しておけば、10年以内に追納できます。

手続きと期限

手続き期限・場所
国民年金の第1号被保険者の届出退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所または町村役場(日本年金機構の案内)
保険料の納付納付の対象の月の翌月末日まで
免除・猶予の申請市区町村の窓口。所得などの要件がある
追納厚生労働大臣の承認を受けて、10年以内(第94条)
配偶者の第3号から第1号への切替え自分の届出と同時に、市区町村で

入社後は、転職先の届出で厚生年金の被保険者に戻るので、国民年金の第1号被保険者は終わります。改めて市区町村で手続きをする必要は、原則としてありません。

誤解されやすい点

「数か月の空白なら、国民年金に入らなくてよい」と思い込む

60歳未満なら加入は義務です(第7条)。届出をしなくても、被保険者にはなっています。

「納められなければ、そのままでよい」と思い込む

未納は受給資格の期間にも額にも数えられません。免除か猶予を申請してください。

「免除を受けたら、その月は一生、年金が減る」と思い込む

10年以内に追納できます(第94条)。追納すれば納付済の期間になります。

「配偶者の分は関係ない」と思い込む

第3号被保険者だった配偶者も、同時に第1号被保険者になります。

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まとめ

よくある質問

3か月の空白があります。保険料はいくらになりますか

空白の月数分の保険料を納めます。月額は定額で、日本年金機構の案内では令和8年度は月額17,920円です。3か月なら、その3倍が目安です。ただし、入社した月は厚生年金の側で数えられるので、日本年金機構の説明では、月末までに就職しない月が国民年金第1号の期間になります。退職の翌月から入社の前月までの月数で数えてください。配偶者が第3号被保険者なら、配偶者の分も同じ額が発生します。年度をまたぐ場合は、額が変わることがあるので、日本年金機構のページで確認してください。

空白の期間の保険料を納めないと、どうなりますか

未納として記録に残り、受給資格の期間にも老齢基礎年金の額にも数えられません。免除や猶予を申請した場合と違い、後から追納することもできません(第94条の追納は、免除や猶予を受けた保険料が対象です)。納められない事情があるなら、放置せずに市区町村で免除か猶予の申請をしてください。申請が通れば、受給資格の期間には数えられ、10年以内に追納できます。数か月の未納が額に与える影響は小さくても、記録に未納が残ることは避けたほうがよいです。

免除を受けた期間は、後から納められますか

納められます。国民年金法第94条第1項は、厚生労働大臣の承認を受けて、免除や猶予を受けた保険料のうち10年以内の期間に係るものを追納できると定めています。第4項は、追納が行われた日にその月の保険料が納付されたものとみなすとしています。ただし、第3項は、追納する額は当該月の保険料の額に政令で定める額を加算した額とすると定めているので、経過した期間によっては加算額が付きます。転職後に収入が安定したら、早めに追納するほうが加算は小さくなります。手続きは年金事務所で確認してください。

出典

  1. 国民年金保険料|日本年金機構
  2. 国民年金に加入するための手続き|日本年金機構
  3. 国民年金法 第7条(被保険者の資格)/第27条(老齢基礎年金の年金額)/第87条(保険料)/第87条の2(付加保険料)/第94条(保険料の追納)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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