選考対策 / 面接
自己紹介は何分で何を話すか
面接の冒頭で、ほぼ必ず言われる一言があります。
「まず、簡単に自己紹介をお願いします」
この「簡単に」が曲者です。30秒で終える方と、7分話す方に分かれます。
どちらも、もったいないです。前者は情報が足りず、後者はその後の質問の時間が減ります。
この記事では、2〜3分の型を決めます。面接の全体像は公務員からの転職面接|全体の流れと準備にあります。
結論:5要素を、この順で話す
| 順 | 要素 | 目安 |
|---|---|---|
| ① | 所属と年数、組織の規模 | 20秒 |
| ② | 担ってきた機能(2〜3個) | 40秒 |
| ③ | 自分が決めていた範囲 | 30秒 |
| ④ | 成果を1つ | 30秒 |
| ⑤ | 応募先との接点 | 20秒 |
合計で2分半です。職務経歴書の要約欄と、中身は同じです。
要約欄を作ってあれば、それを話し言葉にするだけで足ります。作り方は職務経歴書の要約欄|最初の5行で何を書くかにあります。
「正確に判定する」ための材料を渡す時間
自己紹介を何のためにするのかは、採用の目的から考えると決まります。
地方公務員法第20条第1項です。
> 採用試験は、受験者が、当該採用試験に係る職の属する職制上の段階の標準的な職に係る標準職務遂行能力及び当該採用試験に係る職についての適性を有するかどうかを正確に判定することをもつてその目的とする。
「能力及び適性を有するかどうかを、正確に判定する」。
役所の採用試験も、民間の面接も、目的は判定です。判定する側は、材料が無ければ判定できません。
自己紹介は、その材料を渡す時間です。
30秒で終えると、材料が足りません。7分話すと、材料が多すぎて、どれが重要か分からなくなります。
2〜3分で、判定に必要な材料を5つ渡す。これが自己紹介の役割です。
話し方の例
> ◯◯市役所に◯年勤務し、現在は財政課に在籍しています。人口約◯万人の市で、一般会計の規模は約◯億円です。(①)>> これまで担当してきたのは、大きく3つです。市税の賦課と滞納整理、生活保護の決定、そして現在の予算の査定です。いずれも、制度の要件を確認したうえで、金額を決める仕事でした。(②)>> 現在は、◯部局、事業約◯件の予算の要求を査定しています。要求の資料の様式を統一して、単価と件数を分解して比較できる形に変えました。査定の案は自分が作成し、部局との協議も担当しています。(③)>> 前年度は、査定の後に復活の要求が集中していたのですが、前提の数字を揃えた年度は、その件数が減りました。(④)>> 御社でも、部門ごとに前提の違う数字を突き合わせて投資の順番を決める場面があると伺いました。同じ進め方が使えると考えています。(⑤)
5要素が、順に入っています。
②の最後に入れた一言(「いずれも、制度の要件を確認したうえで、金額を決める仕事でした」)が、この自己紹介の芯です。3つの部署を、1つの説明でつないでいます。
長さを調整する
「簡単に」と言われたら短く、「詳しく」と言われたら長く。同じ内容で、長さだけ変えられるようにしておいてください。
| 指示 | 長さ | 何を話すか |
|---|---|---|
| 「簡単に」 | 1分 | ①②⑤(機能と接点だけ) |
| 指示なし | 2〜3分 | ①〜⑤すべて |
| 「詳しく」「経歴に沿って」 | 4〜5分 | ①〜⑤に、②の各機能の具体を足す |
1分版を必ず用意してください。「簡単に」と言われたのに3分話すと、指示を聞いていないと受け取られます。
時間を計って、1回ずつ声に出しておくと、この調整ができるようになります。
やらないほうがよいこと
| ✕ | なぜ |
|---|---|
| 学歴から話す | 中途採用で学歴を聞かれることは多くありません |
| 部署を異動の順に全部挙げる | 列挙は材料になりません。機能でまとめてください |
| 志望動機を長く話す | 別に聞かれます。⑤の1行で足ります |
| 趣味や人柄の話を入れる | 聞かれてから答えてください |
| 「至らない点も多いですが」と前置きする | 判定の材料が減ります |
部署の列挙が、いちばん多い形です。「税務課に3年、市民課に2年、福祉課に4年……」と続けても、聞いている側は覚えられません。
「3つの部署で、共通して◯◯をしてきた」とまとめてください。
技術職・専門職の場合
技術職や専門職では、②の機能のまとめ方が変わります。部署ではなく、工程と対象でまとめてください。
> 土木職として◯年、道路と橋梁を担当してきました。設計、積算、発注、監督、維持管理のうち、発注と監督を中心に、年間約◯件、総額約◯億円の工事を担当しています。
保健師、保育士、社会福祉士などの資格職も同様です。免許の名前と、扱ってきた対象の規模を先に置いてください。
> 保健師として◯年、精神保健と難病の相談を担当してきました。年間約◯件の相談に対応し、感染症の発生時には◯事案の調査を担当しています。
資格職は、①で免許を言い切ってしまうほうが伝わります。そのうえで、扱ってきた範囲を数字で添える。この2文で、判定の材料はかなり揃います。
話す速度と、間
2〜3分の自己紹介は、文字にすると600〜900字程度です。
原稿を作る必要はありませんが、要素ごとに1文ずつ書き出しておくと、本番で迷いません。
| 実務 | 目安 |
|---|---|
| 速度 | ゆっくりめ。緊張すると速くなります |
| 間 | 要素の切れ目で、1拍おく |
| 姿勢 | 画面越しなら、カメラを見る時間を作る |
| 資料 | 手元に職務経歴書を置いて構いません |
手元の書類を読み上げるのは避けてください。目線が下がり続けると、準備してきた原稿を読んでいるように見えます。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 30秒で終える
判定の材料が足りません。5要素を入れてください。
2. 7分話す
質問の時間が減ります。2〜3分です。
3. 部署を列挙する
機能で束ねて、束ねた理由を1文で言ってください。
4. 学歴から始める
中途採用では、職務の話から始めます。
5. 1分版を用意しない
「簡単に」と言われたときに対応できません。
6. 謙遜を入れる
材料が減ります。事実を話してください。
まとめ
- 自己紹介は、①所属と規模 ②担ってきた機能 ③決めていた範囲 ④成果1つ ⑤応募先との接点の5要素、2〜3分です
- 地方公務員法第20条第1項は、採用試験の目的を能力と適性を有するかどうかを正確に判定することとしています。自己紹介は、その材料を渡す時間です
- 職務経歴書の要約欄を、話し言葉にすれば足ります
- 部署を列挙しない。2〜3個の機能に束ねて、束ねた理由を1文で言ってください
- 1分版を必ず用意してください。「簡単に」と言われたときに使います
- 学歴、謙遜、長い志望動機は入れません
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
異動が多く、3つの機能にまとまりません
応募先に関係する機能から2つ選んで、残りは「そのほか、◯◯と◯◯を担当しました」で足ります。全部を同じ重さで話す必要はありません。選び方は、求人票の仕事内容に近いものです。たとえば、求人票に「関係部門との折衝」とあれば、折衝が多かった部署を前に出す。残りは、「そのほか、窓口と内部の管理も担当しています」の一言で構いません。聞きたければ、面接官が質問してきます。自己紹介の役割は、質問のきっかけを作ることでもあります。すべてを説明しきる必要はありません。
現在の部署が、応募先とまったく関係ありません
その場合も、現在の部署から話して構いません。ただし、②の機能のまとめ方で調整してください。「現在は庶務を担当していますが、これまでの◯年は◯◯を担当してきました」と、直近の状況を1文で触れてから、関係する機能に移る。この順にすると、現在の状況を隠している印象になりません。⑤の接点では、過去の機能と応募先を結んでください。なお、直近の部署が関係ない場合、書類のほうもキャリア式にしておくと整合が取れます。型の選び方はフォーマットの選び方|編年式と逆編年式にあります。
緊張して、うまく話せる自信がありません
原稿を暗記しないでください。暗記した文章は、途中で1語飛ぶと止まります。代わりに、5要素のキーワードだけを覚えてください。「規模」「3つの機能」「査定の範囲」「様式の統一」「前提を揃える」。この5語が出てくれば、文は自然につながります。手元にメモを置くことも、多くの場合は問題ありません。画面越しの面接であれば、なおさらです。ただし、読み上げると目線が下がるので、キーワードだけのメモにしてください。声に出す練習を1回しておくと、本番の速度が落ち着きます。