選考対策 / 志望動機
年収を志望動機に書いてよいか
転職を考える理由に、処遇が含まれることはあります。
それ自体は、自然なことです。
ただし、志望動機にそのまま書くと、問題が生じます。
この記事では、書かない理由と、何に置き換えるかを扱います。志望動機の組み立ては公務員からの転職で志望動機をどう組み立てるかにあります。
公務員の給与も、情勢を見て決められています
処遇を気にすることが特別ではないという点を、先に確認します。
地方公務員法第14条第1項です。
> 地方公共団体は、この法律に基いて定められた給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、随時、適当な措置を講じなければならない。
勤務条件が、社会一般の情勢に適応するように措置を講じる。
つまり、公務員の給与も、社会の状況を見ながら決められる仕組みです。
処遇は、制度の側でも比較の対象になっています。
ですから、自分の処遇を他と比べること自体は、おかしなことではありません。
問題は、それを志望動機として書くかどうかです。
結論:志望動機には書かない
| 場面 | 処遇の扱い |
|---|---|
| 志望動機 | 書かない |
| 応募の段階(希望の条件) | 伝えてよい |
| 面接で理由を聞かれたとき | 他の理由と併せて述べる |
| 条件の提示を受けたとき | 確認・相談する |
志望動機に書かない理由は、2つです。
1つは、「なぜこの会社か」の答えにならないこと。処遇が理由なら、より条件の良い会社があればそちらでよいことになります。
もう1つは、書いた側の意図と違う受け取られ方をすること。「処遇を重視する人」という一面だけが伝わります。
書かないことと、隠すことは別です。条件は、別の場面で伝えてください。
何に置き換えるか
処遇への関心の裏側には、たいてい別の理由があります。
| 元の関心 | 置き換えた表現 |
|---|---|
| 成果が処遇に反映されない | 成果が評価に反映される仕組みで働きたい |
| 年功で決まることへの疑問 | 経験や成果で役割が決まる環境を選びたい |
| 将来の見通しが立たない | 事業の成長とともに役割が広がる環境で働きたい |
| 専門性が処遇に結びつかない | 専門性が職務として位置づけられる環境で働きたい |
4つとも、処遇の話を「仕組み」の話に移しています。
これは、言い換えではなく、より正確な表現です。
多くの場合、気にしているのは金額そのものではなく、決まり方だからです。
「処遇も理由の1つですか」と聞かれたら
面接で、直接聞かれることがあります。
その場合は、認めて構いません。
> 処遇も検討の要素の1つです。ただ、それだけであれば他の選択肢もあります。担当する分野を継続できることと、成果が評価に反映される仕組みがあることを、より重く見ています。
「処遇は関係ありません」と答えると、不自然に聞こえます。
認めたうえで、他の理由を主にする。この形が、いちばん自然です。
条件を伝える場面
| 場面 | 伝え方 |
|---|---|
| 応募の段階 | 人材会社の担当者に希望を伝える |
| 求人票の確認 | 想定される範囲の記載を見て、合うものに応募する |
| 面接で聞かれたとき | 現在の年間の支給を基準に述べる |
| 条件の提示を受けたとき | 内訳を確認し、必要なら相談 |
1つ目と2つ目が、実務的には効きます。
条件が合わない求人に応募しないことで、処遇の話を志望動機に持ち込む必要がなくなります。
絞り方は応募先を絞る基準|志望動機が書ける会社かにあります。
公務員の給与の仕組みを、説明できるようにしておく
条件の話になったときに、いまの給与の構成を説明できると、話が早く進みます。
| 構成 | 内容 |
|---|---|
| 給料 | 級と号給で決まる。条例と規則にもとづく |
| 諸手当 | 扶養、住居、通勤、時間外、管理職手当など |
| 期末・勤勉手当 | 年2回。支給の割合は条例で定められる |
| 退職手当 | 勤続の年数と退職の理由で変わる |
応募先の採用の担当者は、公務員の給与の仕組みに詳しくないことがあります。
「年間の支給は◯◯で、うち期末・勤勉手当が◯か月分です」と構成を説明できると、提示の算定がしやすくなります。
逆に、月々の給料だけを伝えると、年間の水準が低く見積もられることがあります。
源泉徴収票を手元に置いて、年間の額を正確に把握しておいてください。
処遇が下がる場合の書き方
未経験の職種に移る場合、処遇が下がることがあります。
その場合も、志望動機に書く必要はありません。
ただし、面接で「処遇が下がりますが」と確認された場合は、理解している旨を述べてください。
> 未経験の分野に移るため、入社の時点では現在の水準を下回る可能性があると理解しています。その前提で、担当する分野を選べることを重く見て応募しました。
「理解している」と「それでも選んだ理由がある」の2点が示せれば足ります。
経験の言い換えから相談することもできます。
なお、この記事では具体的な金額の目安は示しません。自治体ごとに条例が異なり、職種、級、年齢、地域によって差があるためです。自分の水準は、手元の資料で確認してください。
よくある失敗
1. 志望動機に処遇を書く
「なぜこの会社か」の答えになりません。
2. 「処遇は関係ありません」と答える
不自然に聞こえます。認めたうえで他の理由を主にしてください。
3. 条件を最後まで伝えない
最終で合わずに辞退という形になります。
4. 金額の希望だけを伝える
根拠を添えてください。
5. 現在の処遇を把握していない
年間の支給の額を確認してから臨んでください。
6. 条件の合わない求人に応募する
絞る段階で除いてください。
まとめ
- 地方公務員法第14条第1項は、勤務条件が社会一般の情勢に適応するように措置を講じるとしています。処遇を比べること自体は、制度の側でも行われています
- 志望動機には書きません。「なぜこの会社か」の答えにならないためです
- 書かないことと、隠すことは別です。条件は、別の場面で伝えてください
- 処遇への関心は、「仕組み」の話に置き換えると、より正確になります
- 面接で聞かれたら、認めたうえで他の理由を主にしてください
- 条件の合わない求人には応募しない。そうすれば、動機に持ち込む必要がなくなります
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よくある質問
希望の条件を伝えると、それ以上は提示されませんか
その可能性はあります。そのため、現在の水準を基準に伝えるのが一般的です。「現在の年間の支給を基準に考えています」という形です。具体的な希望額を先に出すかどうかは、状況によります。人材会社を経由している場合は、担当者に希望を伝えておけば、応募先との調整をしてもらえます。担当者は、その会社の幅を把握していることがあります。直接応募の場合は、現在の水準を正確に伝えたうえで、提示を待つという進め方が無難です。いずれにしても、低く伝える必要はありません。
処遇が下がっても構わないと伝えるべきですか
伝える必要はありません。むしろ、「下がっても構いません」と述べると、条件を確認しない人と受け取られることがあります。伝えるとすれば、「水準は御社の規定に従います。ただし内訳は確認させてください」という形です。受け入れる姿勢と、確認する姿勢の両方が示せます。なお、実際に下がることを受け入れられない場合は、応募の段階で条件を絞ってください。入社後に不満が残ると、短期間で動く材料になります。判断の材料は「年収が下がっても大丈夫か」への答え方に整理しています。
扶養している家族がいて、条件を下げられません
その事情は、条件として伝えて構いません。「世帯の状況から、年間の支給が◯◯を下回ると難しい」という形です。理由を詳しく説明する必要はありません。そのうえで、その条件を満たす求人に絞って応募してください。条件を満たさない求人に応募して、最終で辞退するのは、双方にとって損です。なお、条件を満たす求人が少ない場合は、職種や業界を広げることを検討してください。専門の資格が要件の職種や、行政の経験が要件の職種では、条件が下がりにくい傾向があります。