選考対策 / 志望動機
通らない志望動機の典型
志望動機が通らないとき、直す場所には型があります。
全部を書き直す必要はありません。該当する型を1つ直せば、多くは足ります。
この記事では、6つの型と直し方を扱います。提出前の点検は志望動機の提出前チェックにあります。
基準は、具体的に定められます
読む側に基準があることは、役所の実務と同じです。
行政手続法第5条第2項です。
> 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
基準は、できる限り具体的に定める。
申請を審査してきた方なら、基準が具体的であるほど判断しやすいことをご存じのはずです。
採用の側も同じです。求人票の「応募条件」と「仕事内容」が、その基準に当たります。
そして、基準が具体的である以上、答えも具体的である必要があります。
抽象的な志望動機が通らないのは、基準に対して答えていないからです。
通らない6つの型
| 型 | 内容 | 直し方 |
|---|---|---|
| ① 理念への共感 | 「理念に共感しました」 | 応募先が担っている役割から書く |
| ② 業種の説明 | 「自治体向けのシステムの会社」 | 同業2社を比べて、違いを書く |
| ③ 経験の羅列 | 役所の業務の説明が中心 | 接点だけに絞る |
| ④ 抽象語で締める | 「貢献したい」「活かしたい」 | 入社後の行動を書く |
| ⑤ 辞める理由が混ざる | 現職の話が中心 | 志望動機から外す |
| ⑥ 使い回し | 全社に同じ文章 | ①と②で選ぶ材料を変える |
①と②が、いちばん多い型です。
どちらも、「どの会社にも出せる文章」になっています。
①——理念への共感
> 貴社の「地域とともに」という理念に共感し、応募いたしました。
共感は、誰にでも書けます。そして、共感したことは、採用の判断材料になりません。
直し方は、理念ではなく、事業の内容から書くことです。
> 御社は、自治体の業務システムの導入から、稼働後の定着までを支援されていると理解しています。
「何をしている会社か」を、自分の言葉で書く。それが①の代わりになります。
②——業種の説明で終わる
> 貴社は、自治体向けのシステムを提供されています。
これは、同業のどこにでも当てはまります。
直し方は、同業の2社を並べて読むことです。
違いが見つかれば、それが①に書く材料になります。
> 導入そのものより、稼働した後に職員が使いこなせる状態を作るところに比重を置かれている点が、他社との違いだと受け止めました。
この一文は、その会社にしか当てはまりません。
③——経験の羅列
役所の業務の説明が、志望動機の大半を占めている型です。
経験は、職務経歴書に書いてあります。
志望動機で書くのは、応募先との接点だけです。
| ✕ | ○ |
|---|---|
| 担当してきた業務を順に説明 | 接点のある1つを、数字を入れて3行 |
3行で足ります。
④——抽象語で締める
> これまでの経験を活かし、貴社に貢献したいと考えております。
この一文には、情報がありません。
直し方は、入社後に何をするかを書くことです。
> 入社後は、まず御社の進め方を覚えることが優先だと考えています。そのうえで、職員がどこで詰まるかを事前に想定する部分で、早い段階から貢献できると考えています。
「何を」「いつ」が入ると、具体になります。
⑤——辞める理由が混ざる
志望動機に、現職の話が入っている型です。
辞める理由と、この会社を選んだ理由は、別の問いです。
志望動機からは外してください。
扱い方は「なぜ辞めるのか」を無理に前向きへ変換しないにあります。
⑥——使い回し
| 跡 | 確認 |
|---|---|
| 会社名の誤り | 提出の前に検索 |
| 業種の取り違え | 主力の事業を確認 |
| 前の応募先の固有名詞 | 検索で確認 |
内容と関係なく、印象に影響します。
書き出しの1文で決まる
6つの型は、多くが書き出しの1文に現れます。
| 書き出し | 該当する型 |
|---|---|
| 「貴社の理念に共感し」 | ①理念への共感 |
| 「貴社は◯◯業界で」 | ②業種の説明 |
| 「私は◯◯市役所で」 | ③経験の羅列 |
| 「現在の職場では」 | ⑤辞める理由が混ざる |
4つとも、最初の10文字で判別できます。
通る志望動機の書き出しは、「御社は、◯◯を◯◯という形で提供されていると理解しています」という形になります。
主語が応募先で、内容が事業の具体です。
自分の志望動機の1文目を読み返して、上の表のどれかに当てはまっていないかを確認してください。当てはまっていれば、その1文を書き直すだけで、全体の印象が変わります。
直す順番
| 順 | 型 | 所要 |
|---|---|---|
| 1 | ①理念への共感 | 30分(同業2社を読む) |
| 2 | ②業種の説明 | 上と同時 |
| 3 | ④抽象語で締める | 10分 |
| 4 | ③経験の羅列 | 15分 |
| 5 | ⑤辞める理由 | 5分(外すだけ) |
| 6 | ⑥使い回し | 3分(確認するだけ) |
①と②を直した時点で、多くは通るようになります。
残りは、その後で構いません。
通らない理由が、志望動機にない場合
志望動機を直しても通らない場合、原因が別にあることがあります。
| 原因 | 確認 |
|---|---|
| 必須要件を満たしていない | 求人票の応募条件 |
| 経験の対応が薄い | 仕事内容との対応の度合い |
| 職務経歴書の問題 | 要約の5行、実績の書き方 |
| 条件の不一致 | 勤務地、転勤、入社の時期 |
切り分けの手順は書類選考で落ちるときに見直す点にあります。
経験の言い換えから相談することもできます。
なお、書き出しを直すときに、応募先を主語にしすぎないよう注意してください。1文目は応募先、2文目以降は自分の話に戻します。応募先の説明が3文続くと、今度は②の型になります。
よくある失敗
1. 全文を書き直す
該当する型を1つ直せば足ります。
2. ①を後回しにする
いちばん見られている部分です。
3. ③④⑤だけを直す
①が変わらないと、全体は変わりません。
4. 応募先を調べずに書く
①の材料が作れません。
5. 1社落ちるたびに直す
3社から5社の傾向を見てください。
6. 志望動機以外の原因を疑わない
必須要件と経験の対応を先に確認してください。
まとめ
- 行政手続法第5条第2項は、審査基準をできる限り具体的なものとしなければならないとしています。基準が具体的なら、答えも具体的である必要があります
- 通らない型は、①理念への共感 ②業種の説明 ③経験の羅列 ④抽象語で締める ⑤辞める理由が混ざる ⑥使い回しの6つです
- ①と②が最多。どちらも「どの会社にも出せる文章」になっています
- ①を直すには、同業の2社を並べて読む30分が要ります。ここを後回しにしないでください
- ①と②が直れば、多くは通るようになります
- 志望動機に時間をかけすぎない。職務経歴書に8割、志望動機に2割です
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
同業他社が見つからない業界です
顧客が同じ会社を探してください。まったく同じ事業をしている会社がなくても、同じ顧客に対して別のものを提供している会社はあります。自治体向けのシステムの会社なら、建設コンサルタント、発注者支援、業務の受託といった会社が、同じ顧客を相手にしています。比べる相手は、事業が同じである必要はありません。「同じ顧客に対して、この会社は何を提供しているか」を見れば、その会社の立ち位置が分かります。それが、①に書く材料になります。
公式サイトの情報が少ない会社です
求人票のほうが具体的な場合があります。仕事内容の欄に、日々の業務の中身が書かれていることがあります。そこから、どういう仕事をしている会社かが読み取れます。加えて、人材会社を経由している場合は、担当者に確認してください。公式サイトに出ていない情報を持っていることがあります。それでも材料が足りない場合、①を短くして、②の接点を厚くするという調整ができます。①が2行でも、②が具体的であれば、志望動機は成立します。
通らないのが志望動機のせいか、分かりません
書類の段階で止まっているなら、職務経歴書のほうを先に疑ってください。書類選考では、職務経歴書のほうが重く見られるのが通常です。志望動機は、経験が要件に合っていることを確認したうえで読まれます。一方、一次面接で「なぜ弊社か」を繰り返し聞かれる場合は、志望動機が弱い可能性があります。どの段階で止まっているかで、直す場所が変わります。切り分けの手順は不採用が続いたときの見直し方に整理しています。