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富士見市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
富士見市は、同じ類似団体類型区分の59団体のなかで、どの項目も29番目から46番目のあいだにいます。
全部が真ん中です。
この連載で「全部が真ん中」の市を扱うのは、3例目になります。
ところが、同じ地域手当10%の団体と並べると、違う面が見えます。
富士見市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、富士見市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 富士見市 | 59団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.0 | 33番目 |
| 平均年齢 | 40.8歳 | 46番目 |
| 平均給料月額 | 308,900円 | 44番目 |
| 諸手当月額 | 93,922円 | 29番目 |
| 平均給与月額 | 402,822円 | 35番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 368,126円 | 33番目 |
| 地域手当以外 | 63,032円 | 33番目 |
| 落ち幅 | 34,696円 | 35番目 |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも10%です。給料月額にかけると、概算で30,890円。諸手当93,922円からこれを引くと、残りは63,032円。総額の15.6%になります。
8つの項目が、18ランクのなかに収まります
いちばん上が諸手当の29番目、いちばん下が平均年齢の46番目。
その間は18ランクです。
どこかが飛び出て総額が動く、という形になっていません。
この連載では、指数が50番目なのに国ベースが8番目だった市や、給料月額が70番目なのに総額が3番目だった市を扱ってきました。
富士見市には、そういう動きがありません。
同じ10%の6団体で、比率は9.6ポイント開きます
地域手当10%の団体は、この区分に6つあります。地域手当以外が総額に占める割合で並べます。
| 市 | 平均年齢 | 地域手当以外 | 総額に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 草津市 | 38.3歳 | 112,935円 | 25.2% |
| 三田市 | 45.7歳 | 88,982円 | 19.5% |
| 伊勢原市 | 40.4歳 | 81,664円 | 19.0% |
| 土浦市 | 41.7歳 | 64,731円 | 16.1% |
| 春日市 | 42.0歳 | 66,425円 | 15.8% |
| 富士見市 | 40.8歳 | 63,032円 | 15.6% |
率は6団体とも10%です。
それでも、割合は15.6%から25.2%まで9.6ポイント開きます。
この連載では「率が高い団体ほど外側が薄いほうに寄る」という傾向を確かめてきました。
傾向はあります。
ところが、率が同じでも外側の厚みは決まりません。
富士見市は、6団体のなかでいちばん薄い側です。
県内の数字は埼玉県職員の転職に、隣接する市はふじみ野市職員の転職に、同じ「全部が真ん中」の市は唐津市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
富士見市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 広報、住民への周知 | 販促、社内広報、マーケティング |
| 住宅地の管理、空き家の対応 | 資産管理、施設運営 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 補助金の交付決定と検査 | 審査、内部統制、監査 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「安く、あまねく、公平に」を同時に求める実務
富士見市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
郵便法第1条は、この法律が、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進することを目的とすると定めています。
短い条文です。
そして、条件が3つ並んでいます。
なるべく安い料金で。
あまねく。
公平に。
この3つは、互いに引っ張り合います。
あまねくにすると、遠いところにも届けなければなりません。
遠いところほど費用がかかります。
ところが公平にするので、近い人も遠い人も同じ料金です。
そして、なるべく安くしなければならない。
実務は、次のような形になります。
- 届ける範囲を広げると、1件あたりの費用が上がる
- 費用が上がっても、料金は同じ
- だから、費用の高いところは安いところが支えている
- ところが、安いところだけを切り出すと、支える相手がいなくなる
- そして、切り出されるのはいつも費用の安いところです
企業でも、まったく同じ問題があります。
サービスの提供範囲、価格の設定、サポートの水準、拠点の配置。どれも「全員に、同じ水準で、安く」を同時に満たそうとすると成り立ちません。
そして、多くの場合こうなります。
全員に同じ水準で、と決めます。
費用が合わないので、水準を下げます。
下げると、手厚い対応が要る相手が困ります。
困った相手から、個別の要望が来ます。
個別に対応します。
個別対応が増えると、また費用が合わなくなります。
「同じ水準」と決めた時点で、実は決まっていません。
どこを同じにして、どこを変えるかを決めていないからです。
この線を引ける人は、企業にほとんどいません。
求人票では、事業企画、カスタマーサクセス、業務設計、価格戦略、拠点企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、全員に提供したと書かないことです。どこを同じにして、どこを変えたか、変えた理由をどう説明したか、費用の高い相手を誰が支えていたか、そしてその構造を持ちこたえさせるために何をしたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
富士見で、どの経験が値になるか
1. どこを同じにして、どこを変えるか決めた経験
一律にするかしないかの線を引いた経験は、企業にほとんどありません。
2. 費用の構造を説明した経験
費用の高い相手を誰が支えているかを、言葉にした経験は、そのまま事業企画の話になります。
3. 個別対応が増えたときに戻した経験
例外が積み上がる前に整理した経験は、めったに書かれません。
4. 届きにくい相手に届けた経験
手間のかかる相手を切り捨てずに扱った経験は、幅広い顧客を持つ会社で直接使えます。
県内・県外の求人を見るときに
富士見市は埼玉県の南部にあり、東武東上線が通ります。都内はもちろん、川越方面やさいたま市方面の求人も通勤圏に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「窓口業務を担当」では読み手に何も残りません。どこを一律にして、どこを個別にしたか。
例外が増えた話を書く
個別対応が積み上がった場面。そこでどう整理したかまで書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、処理件数、対象になった人数、関わった年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
低地の住宅地を扱ってきた技術者は、扱える人が限られる
雨が集まる場所、ポンプの能力、道路と宅地の高さの差、古い水路の位置。水がたまりやすい土地に住宅が並んだ状態で、排水を設計し直してきた経験は、建設コンサルタントや設備の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。窓口や広報に関わったなら、処理件数、対象人数、かかった費用、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 富士見市の一般行政職はラスパイレス指数99.0、平均給与月額402,822円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 8つの項目がすべて59団体の29番目から46番目に収まり、飛び出た項目がありません
- 地域手当10%の6団体で並べると、地域手当以外が総額に占める割合は15.6%でいちばん薄い側です
- 6団体とも率は10%なのに、割合は15.6%から25.2%まで9.6ポイント開きます
- 率が高い団体ほど外側が薄いほうに寄る傾向はありますが、率が同じでも厚みは決まりません
- 地域手当10%の概算30,890円を引くと、残る63,032円(総額の15.6%)が人ごとに違う部分
よくある質問
すべての順位が中位だと、どう読めばよいですか
比べる相手をそろえると、違う面が出ます。富士見市は59団体では全部が真ん中ですが、地域手当10%の6団体で並べると、外側の厚みはいちばん薄い側になります。
地域手当の率が同じなら、外側も同じですか
同じにはなりません。10%の6団体で、地域手当以外が総額に占める割合は15.6%から25.2%まで9.6ポイント開きます。
諸手当93,922円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当10%の概算30,890円を除いた、63,032円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は15.6%です。