自治体別 / 市
日野市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
日野市の地域手当16%は、類似団体類型区分が同じ35団体のなかで最も高い割合です。
ところが平均給与月額430,734円は、15番目です。
そして地域手当を引いた残りの手当60,810円は、総額の14.1%しかありません。この回で、その中身を開きます。
日野市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、日野市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 日野市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.8(35団体で下から3番目) |
| 平均年齢 | 43.3歳 |
| 平均給料月額 | 318,900円(35団体で21番目) |
| 諸手当月額 | 111,834円 |
| 平均給与月額 | 430,734円(35団体で15番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 393,642円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 16% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 16% |
諸手当は総額の26.0%を占めます。
地域手当16%の4団体を並べる
35団体のうち、地域手当が16%なのは4つです。
| 市 | ラスパイレス指数 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 地域手当以外(概算) | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小平市 | 99.6 | 329,300円 | 125,777円 | 73,089円 | 455,077円 |
| 町田市 | 98.3 | 327,300円 | 120,316円 | 67,948円 | 447,616円 |
| 調布市 | 99.8 | 325,200円 | 111,089円 | 59,057円 | 436,289円 |
| 日野市 | 97.8 | 318,900円 | 111,834円 | 60,810円 | 430,734円 |
日野市は、この4団体のなかで指数も給料月額も総額も最も低い数字です。
調布市の回で、この4団体は給料月額の高い順に総額も高い順に並ぶことを見ました。日野市はその並びのいちばん下にあたります。
地域手当が最高でも、総額が15番目になる理由
| 項目 | 金額 | 総額に占める割合 |
|---|---|---|
| 平均給料月額 | 318,900円 | 74.0% |
| 地域手当(概算) | 51,024円 | 11.8% |
| 地域手当以外の手当(概算) | 60,810円 | 14.1% |
地域手当16%は、金額にしておよそ51,024円。35団体で最も高い割合ですが、給料月額が318,900円と21番目なので、掛けた結果もそれほど大きくなりません。
地域手当は割合ではなく、金額で効きます。同じ16%でも、給料月額329,300円の小平市では52,688円、318,900円の日野市では51,024円になります。
そして地域手当以外の60,810円は、総額の14.1%。調布市の13.5%に次いで小さい数字です。
都内の数字は東京都職員の転職に、同じ区分の市は調布市職員の転職と三鷹市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
日野市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 農業振興地域の整備、農地転用の調整 | 用地開発、権利調整、規制対応 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 工業と住宅が混在する区域の調整 | 用地開発、渉外、環境管理 |
| 公共施設の再編、統廃合の調整 | 拠点再編、固定費削減 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「残すと決めた区域」を守り続ける実務
日野市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
農業振興地域の整備に関する法律第1条は、この法律が、自然的経済的社会的諸条件を考慮して総合的に農業の振興を図ることが必要であると認められる地域について、その地域の整備に関し必要な施策を計画的に推進するための措置を講ずることにより、農業生産に必要な農用地等の確保及び農業の健全な発展を図るとともに、国民に対する食料の安定供給の確保及び国土資源の合理的な利用に寄与することを目的とすると定めています。
注目してほしいのは「農用地等の確保」という言葉です。
増やす、ではありません。確保する。つまり、減らさないということです。
都市に近い農地には、いつでも別の使い道があります。住宅にも、店舗にも、駐車場にもできる。そして、そのほうが持ち主にとっては収入になることが多い。
それでも、区域として残すと決めたら、簡単には外せません。
実務は、次のような形になります。
- どこを農用地区域として残すかを決める
- 残された側は、自分の土地の使い道が狭まる
- 外してほしいという申し出が、毎年出てくる
- 1つ外すと、次の申し出が来る
- 外さない理由を、その都度説明する
「一度決めた線を、圧力がかかり続けるなかで維持する」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
品質基準、値引きの上限、在庫の下限、セキュリティの要件、業務の標準手順。どれも一度決まります。
そして多くの企業で、こうなります。「今回だけ」という例外の申し出が、途切れずに来ます。現場には個別に見れば筋の通った事情があり、断ると角が立ちます。だから1つ通す。すると次が来ます。数年経つと、基準は形だけ残って、実態は例外の集まりになります。
線を維持する仕事は、成果が見えません。守り切っても、何も起きないだけです。だから、やっている人の貢献が見えにくい。
求人票では、品質保証、内部統制、コンプライアンス、規制対応、業務設計といった名前で書かれています。
書くときのこつは、地区名や申し出た相手を書かないことです。線をどういう根拠で引いたか、外してほしいという申し出にどう答えたか、通した例外と通さなかった例外の違いをどう説明したか、そして線そのものを見直すときは何を根拠にしたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
日野で、どの経験が値になるか
1. 圧力のなかで線を維持した経験
「今回だけ」を断り続ける。この経験は、企業でほとんど誰も評価されていませんが、実務としては重いものです。
2. 通した例外と通さなかった例外を説明できる経験
違いを言葉にできるかどうか。ここが強く読まれます。
3. 成果が見えない仕事を続けた経験
守り切っても何も起きない。それでも続けた経験が値になります。
4. 都市と農地が混ざる区域を扱った経験
用途の違う土地が隣り合う。用地開発の実務と同じ構造です。
都内・都外の求人を見るときに
日野市は東京都の多摩地域にあり、都心と多摩地域の両方を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「農業振興地域の事務を担当」では読み手に何も残りません。線をどういう根拠で引き、外してほしいという申し出にどう答えたか。
通した例外を書く
すべてを断れるわけではありません。通した理由を説明できると、判断があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる面積、申し出や協議の件数、変更した件数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、補償業務管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。計画や許認可に関わったなら、対象となる面積、申し出や協議の件数、変更した件数、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 日野市の一般行政職はラスパイレス指数97.8、平均給与月額430,734円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 地域手当16%は同じ区分の35団体で最も高い割合です。ところが総額は15番目です
- 地域手当は割合ではなく金額で効きます。給料月額318,900円の16%は51,024円で、給料月額の高い団体が10%を掛けた額とそう変わりません
- 地域手当以外の手当は60,810円で、総額の14.1%。35団体のなかで小さいほうです
- 総額のうち人によって違う部分が小さいので、団体の平均と自分の額は近くなりやすい団体です
- 「一度決めた線を、圧力がかかり続けるなかで維持する」経験は、企業でほとんど誰も評価していません(農業振興地域の整備に関する法律1条)
よくある質問
地域手当が最も高いのに、総額が15番目なのはなぜですか
地域手当は割合ではなく金額で効くからです。日野市の給料月額318,900円に16%を掛けると51,024円。給料月額の高い団体が10%を掛けた額と、そう変わりません。加えて、地域手当以外の手当が60,810円と35団体のなかで小さいほうです。
ラスパイレス指数97.8は、低いということですか
学歴と経験年数を揃えて国と比べた指数が、国よりやや低いということです。ただしあなたの給料表の位置を示すものではありません。団体の職員全体について計算された数字で、転職で見られるのはあなたの実額です。
諸手当26.0%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当16%ぶんのおよそ51,024円を除いた、60,810円の部分です。総額に占める割合でいうと14.1%。人によって違う部分が小さいので、団体の平均と自分の額は近くなりやすく、求人票と比べやすい側にいます。