自治体別 / 市
春日市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
春日市は、同じ類似団体類型区分の59団体のなかで、どの項目も15番目から31番目のあいだにいます。
全部が真ん中より少し上です。
飛び出た項目も、落ち込んだ項目もありません。
この形の市を扱うのは、この連載で4例目になります。
春日市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、春日市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 春日市 | 59団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.8 | 20番目 |
| 平均年齢 | 42.0歳 | 31番目 |
| 平均給料月額 | 321,800円 | 21番目 |
| 諸手当月額 | 98,605円 | 23番目 |
| 平均給与月額 | 420,405円 | 21番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 383,252円 | 15番目 |
| 地域手当以外 | 66,425円 | 29番目 |
| 落ち幅 | 37,153円 | 29番目 |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも10%です。給料月額にかけると、概算で32,180円。諸手当98,605円からこれを引くと、残りは66,425円。総額の15.8%になります。
8つの項目が、16ランクのなかに収まります
いちばん上が国ベースの15番目、いちばん下が平均年齢と落ち幅の31番目。
その間は16ランクです。
この連載では、指数が50番目なのに国ベースが8番目だった市や、給料月額が70番目なのに総額が3番目だった市を扱ってきました。
春日市には、そういう動きがありません。
指数20番目と総額21番目が、ほとんど同じ位置です。
諸手当の3分の1は、地域手当です
諸手当98,605円は59団体で23番目と、厚い側です。
ところが、そのうち32,180円は地域手当10%の概算です。
割合にすると32.6%。
残る66,425円は29番目まで下がります。
総額に占める割合は15.8%。
同じ10%の6団体で、割合は9.6ポイント開きます
地域手当10%の団体は、この区分に6つあります。
| 市 | 地域手当以外 | 総額に占める割合 |
|---|---|---|
| 草津市 | 112,935円 | 25.2% |
| 三田市 | 88,982円 | 19.5% |
| 伊勢原市 | 81,664円 | 19.0% |
| 土浦市 | 64,731円 | 16.1% |
| 春日市 | 66,425円 | 15.8% |
| 富士見市 | 63,032円 | 15.6% |
率は6団体とも10%です。
それでも割合は15.6%から25.2%まで9.6ポイント開きます。
春日市は、下から2番目です。
県内の数字は福岡県職員の転職に、県内の市は大牟田市職員の転職に、同じ10%の市は富士見市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
春日市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 広報、住民への周知 | 販促、社内広報、マーケティング |
| 市民活動・自治組織との調整 | 渉外、コミュニティ運営、事業企画 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 史跡・文化財の保存と活用 | 資産管理、施設運営 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「自律を、外から保障する」実務
春日市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
放送法第1条は、この法律が、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とすると定めたうえで、3つの原則を挙げています。
1つめは、放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
2つめは、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
3つめは、放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
注目したいのは、2つめの「自律を保障する」です。
自律は、本来なら自分でするものです。
それを、外から保障すると書いてあります。
一見すると、矛盾しています。
ところが、実務ではこうなります。
中立でいろ、と外から命じることはできません。
命じた時点で、命じた側の意向が入るからです。
だから、中立を命じるのではなく、自分で決められる状態のほうを守る。
実務は、次のような形になります。
- 偏らないようにするには、外からの口出しを減らす必要がある
- ところが、口出しを減らすと、質が落ちる場合もある
- だから、口出しの代わりに「誰が責任を負うか」をはっきりさせる
- 責任がはっきりすると、外から言わなくても自分で気をつける
- そして、責任の所在があいまいなままだと、どちらも起きません
企業でも、まったく同じ問題があります。
現場への権限委譲、子会社の独立性、専門職の判断、監査部門の位置づけ。どれも「任せるが、放置はしない」という形で起きます。
そして、多くの場合こうなります。
任せると決めます。
ところが、失敗が起きると、口を出すようになります。
口を出すと、現場は判断しなくなります。
判断しなくなると、上に確認が来ます。
確認が増えると、上はさらに口を出します。
「任せる」と決めただけでは、任せたことになりません。
任せる側が何を負い、任される側が何を負うかを、先に決めておく必要があります。
この線を引ける人は、企業にほとんどいません。
求人票では、組織開発、内部統制、業務設計、経営企画、コンプライアンスといった名前で書かれています。
書くときのこつは、権限を委譲したと書かないことです。任せる側と任される側が、それぞれ何を負うと決めたか、失敗が起きたときにどう扱ったか、口を出したくなった場面で何をしたか、そして数年後も任せられていたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
春日で、どの経験が値になるか
1. 責任の所在を先に決めた経験
任せる前に、誰が何を負うかを言葉にした経験は、企業にほとんどありません。
2. 失敗が起きても任せ続けた経験
口を出したくなった場面で、こらえた経験は、そのまま組織開発の話になります。
3. 任せた状態が続いた経験
数年後も任せられていたかを確かめた経験は、めったに書かれません。
4. 住民の組織と長く付き合ってきた経験
命令できない相手と、続けて仕事をしてきた経験は、パートナー管理や渉外で直接使えます。
県内・県外の求人を見るときに
春日市は福岡市に隣接し、鹿児島本線と西鉄天神大牟田線が近くを通ります。福岡市内の求人の多くが通勤圏に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「地域活動を担当」では読み手に何も残りません。誰が何を負うと決め、どこまで任せたか。
こらえた話を書く
口を出したくなったのに、任せ続けた場面。そこで何をしたかまで書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、関わった団体数、扱った件数、続いた年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
人口密度の高い市街地を扱ってきた技術者は、扱える人が限られる
工事のための場所がない、迂回路が取れない、夜間の作業、埋設物の密度。空いている土地がほとんどない場所で、掘って直してきた経験は、建設コンサルタントや設備の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。広報や地域活動に関わったなら、関わった団体数、参加人数、扱った費用、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 春日市の一般行政職はラスパイレス指数99.8、平均給与月額420,405円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 8つの項目がすべて59団体の15番目から31番目に収まり、飛び出た項目がありません
- 諸手当98,605円は23番目と厚い側ですが、そのうち32,180円(32.6%)は地域手当10%の概算です
- 残る地域手当以外66,425円は29番目、総額の15.8%
- 同じ10%の6団体で並べると下から2番目。率が同じでも割合は9.6ポイント開きます
- 地域手当10%の概算32,180円を引くと、残る66,425円(総額の15.8%)が人ごとに違う部分
よくある質問
すべての順位が中位より上だと、どう読めばよいですか
順位の話から得られるものはほとんどない、と読んでください。春日市は8つの項目が16ランクのなかに収まっており、どこかが飛び出て総額が動くという形になっていません。
諸手当が23番目と厚いなら、動かせる部分も広いのですか
そうとはかぎりません。諸手当98,605円のうち32.6%は地域手当の概算で、残る66,425円は29番目まで下がります。
諸手当98,605円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当10%の概算32,180円を除いた、66,425円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は15.8%です。