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加須市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
加須市の平均給与月額(国ベース)382,865円は、同じ類似団体類型区分の101団体のなかで2番目です。
この連載で扱ってきたなかで、いちばん上の順位になります。
ところが、総額では10番目。
そしてラスパイレス指数は44番目です。
加須市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、加須市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 加須市 | 101団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.6 | 44番目 |
| 平均年齢 | 44.8歳 | 6番目(高い側) |
| 平均給料月額 | 333,600円 | 4番目 |
| 諸手当月額 | 72,455円 | 21番目 |
| 平均給与月額 | 406,055円 | 10番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 382,865円 | 2番目 |
| 地域手当以外 | 52,439円 | 51番目 |
| 落ち幅 | 23,190円 | 56番目(小さい側) |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも6%です。給料月額にかけると、概算で20,016円。諸手当72,455円からこれを引くと、残りは52,439円。総額の12.9%になります。
給料表で稼いで、外側が薄い
1段目。指数44番目から、給料月額4番目へ。40ランク上がります。
押し上げているのは平均年齢44.8歳(101団体で6番目に高い)です。指数は国と同じ年齢構成にそろえて計算するので年齢の違いが消えますが、平均給料月額は実際の在職者で計算するので残ります。
2段目。給料月額4番目から、総額10番目へ。6ランク下がります。
下げているのは地域手当以外52,439円(51番目)です。地域手当6%の概算20,016円を除くと、残りは真ん中より下になります。
3段目。総額10番目から、国ベース2番目へ。8ランク上がります。
落ち幅23,190円が小さいからです。
外側が薄い団体は、国の制度に合わせ直しても落ちる部分が少なくなります。
この形は、この連載で5例目になります。国分寺市、大崎市、鶴岡市、会津若松市。いずれも給料表の水準で稼いで、外側が薄い団体でした。
総額と国ベースは、別のものを測っています
総額406,055円は、実際に支払われている額です。
国ベース382,865円は、国の制度に合わせ直して計算した額です。
前者は10番目、後者は2番目。
加須市の給与は、国の物差しで測ると高く出ます。
そして、あなたの口座に入るのは前者のほうです。
県内の数字は埼玉県職員の転職に、県内の市は鴻巣市職員の転職と富士見市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
加須市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 人事、職員の配置 | 人事企画、労務、要員計画 |
| 広い市域の支所・拠点の運営 | 多拠点管理、エリアマネジメント |
| 農業の振興、産地の支援 | 事業開発、調達、ブランド企画 |
| 地場産業の振興、販路の支援 | 事業開発、法人営業、ブランド企画 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 河川・排水の管理、災害への備え | インフラ運営、事業継続、危機管理 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「足りないところに回す」と「回される側を守る」実務
加須市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第1条は、この法律が、職業安定法と相まつて労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とすると定めています。
目的が2つ並んでいます。
労働力の需給の適正な調整。
そして、派遣労働者の保護。
前者は、足りないところに人を回すという話です。
後者は、回される側を守るという話です。
この2つは、放っておくと逆を向きます。
回しやすくすればするほど、回される側の立場は弱くなります。
だから、同じ条文に両方が書いてあります。
実務は、次のような形になります。
- 忙しい部署と、そうでない部署が同時にある
- 人を動かせば、全体としては回る
- ところが、動かされる側は毎回一から覚え直す
- 覚え直す時間は、どの部署の数字にも出ない
- そして、動かしやすい人ほど、何度も動かされます
企業でも、まったく同じ問題があります。
繁忙期の応援、プロジェクトへの一時的な参加、拠点をまたぐ異動、業務の外部委託。どれも「全体では回っているが、動かされた人の負担は誰も数えていない」という形で起きます。
そして、多くの場合こうなります。
動かす判断は、全体を見ている人がします。
動かされる人の事情は、その人の上司しか知りません。
上司は、自分の部署の数字で評価されます。
だから、出すことに前向きにはなりません。
結果として、断りにくい人から順に動かされます。
回した回数を記録している会社は、ほとんどありません。
記録がないので、誰に負担が寄っているかも分かりません。
求人票では、人事企画、要員計画、労務、業務設計、プロジェクト管理といった名前で書かれています。
書くときのこつは、応援体制を作ったと書かないことです。誰をどこに回したか、回された側の負担をどう見積もったか、同じ人に偏らないようどう配ったか、そして回した結果を記録に残したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
加須で、どの経験が値になるか
1. 回された側の負担を見積もった経験
全体の効率ではなく、動かされた人の側を数えた経験は、企業にほとんどありません。
2. 偏らないように配った経験
断りにくい人に寄らないよう、配分を設計した経験は、そのまま要員計画の話になります。
3. 回した記録を残した経験
誰が何回動いたかを残した経験は、めったにありません。
4. 支所と本庁の両方を見てきた経験
距離のある拠点どうしで人をやりくりした経験は、多拠点の会社で直接使えます。
県内・県外の求人を見るときに
加須市は埼玉県の北東部にあり、東北自動車道と東武伊勢崎線が通ります。さいたま市方面はもちろん、都内や群馬県方面も選択肢に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「人事を担当」では読み手に何も残りません。誰をどこに回し、負担をどう見積もったか。
偏った話を書く
同じ人に負担が寄ってしまった場面。そこでどう直したかまで書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、職員数、回した人数、関わった年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
大きな川に囲まれた低地を扱ってきた技術者は、扱える人が限られる
堤防の内と外、増水時の水位、排水機場の運転、水がたまる場所の記録。周りより低い土地で、水を出す側の設備を設計し運転してきた経験は、建設コンサルタントや設備の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。人事や施設に関わったなら、職員数、拠点数、扱った件数、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 加須市の一般行政職はラスパイレス指数97.6、平均給与月額406,055円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 国ベース382,865円は101団体で2番目。この連載で扱ってきたなかでいちばん上の順位です
- 指数44番目 → 給料月額4番目 → 総額10番目 → 国ベース2番目と動きます
- 押し上げているのは平均年齢44.8歳(6番目)、下げているのは地域手当以外52,439円(51番目)
- 2段目で下げた「外側の薄さ」が、3段目では上げる側にまわります
- 地域手当6%の概算20,016円を引くと、残る52,439円(総額の12.9%)が人ごとに違う部分
よくある質問
国ベースが2番目なら、給与は高いのですか
あなたの口座に入るのは総額のほうです。加須市の総額406,055円は101団体で10番目で、国ベースの2番目とは別の数字です。
指数44番目なのに給料月額4番目なのはなぜですか
平均年齢44.8歳が101団体で6番目に高いからです。指数は国と同じ年齢構成にそろえて計算するので年齢の違いが消えますが、平均給料月額は実際の在職者で計算するので残ります。
諸手当72,455円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当6%の概算20,016円を除いた、52,439円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は12.9%です。