自治体別 / 施行時特例市
熊谷市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
熊谷市のラスパイレス指数101.2は、同じ埼玉県の草加市100.4、春日部市98.6より高い数字です。
平均給料月額330,800円も、3市のなかで最も高い。
それでも総額388,562円は、3市で最も低くなります。理由は諸手当にあります。
熊谷市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、熊谷市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 熊谷市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.2 |
| 平均年齢 | 42.4歳 |
| 平均給料月額 | 330,800円 |
| 諸手当月額 | 57,762円(施行時特例市23市で下から2番目) |
| 平均給与月額 | 388,562円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 366,041円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
埼玉県内の3市を並べる
| 項目 | 熊谷市 | 草加市 | 春日部市 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.2 | 100.4 | 98.6 |
| 平均年齢 | 42.4歳 | 38.7歳 | 41.9歳 |
| 平均給料月額 | 330,800円 | 305,300円 | 317,100円 |
| 諸手当月額 | 57,762円 | 94,014円 | 77,930円 |
| 平均給与月額 | 388,562円 | 399,314円 | 395,030円 |
| 地域手当 | 3% | 6% | 6% |
指数も年齢も給料月額も、熊谷市が3市の先頭です。
それでも総額は3市で最下位になります。諸手当が、草加市より36,252円、春日部市より20,168円薄いためです。
諸手当から地域手当を引く
| 項目 | 熊谷市 | 草加市 | 春日部市 |
|---|---|---|---|
| 諸手当月額 | 57,762円 | 94,014円 | 77,930円 |
| うち地域手当(概算) | 約9,924円 | 約18,318円 | 約19,026円 |
| 地域手当以外 | 約47,838円 | 約75,696円 | 約58,904円 |
| 総額に占める割合 | 12.3% | 19.0% | 14.9% |
熊谷市は、地域手当を除いた手当が総額の12.3%しかありません。
つまり総額の87.7%が、給料表と地域手当という、割合や表で決まる部分です。
県内の数字は埼玉県職員の転職に、比較した市は草加市職員の転職と春日部市職員の転職に整理しています。
施行時特例市とは、どういう市か
特例市という制度は、2015年(平成27年)4月1日に廃止されました。
そのときに特例市だった市が、「施行時特例市」として、それまでと同じ事務を引き続き処理しています。熊谷市もその1つです。
中核市との違いは、はっきりしています。中核市は保健所を設置しますが、施行時特例市は設置しません。食品衛生や感染症対策は、都道府県の仕事として残ります。
一方で、施行時特例市が処理している事務も小さくありません。
- 都市計画法の開発許可
- 建築基準法の特定行政庁としての事務
- 騒音、振動、悪臭の規制
- 屋外広告物の規制
「建てる」「造る」「出す」に関わる許認可が中心です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 暑さ対策の計画と施設整備 | 事業企画、施設企画、リスク管理 |
| 熱中症の予防と情報の伝達 | 安全管理、CS企画、業務設計 |
| 開発許可、建築確認の審査 | 規制対応、用地開発、品質保証 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 騒音・振動・悪臭の規制 | 環境管理、規制対応 |
| 農業の生産・出荷・担い手の支援 | 調達、産地開発、商品企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「止められない変化に、合わせにいく」実務
熊谷市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
気候変動適応法第1条は、この法律が、気候変動に起因して、生活、社会、経済及び自然環境における気候変動影響が生じていること並びにこれが長期にわたり拡大するおそれがあることに鑑み、気候変動適応に関する計画の策定、情報の提供、熱中症対策の推進その他必要な措置を講ずることにより、気候変動適応を推進するものだとしています。
注目してほしいのは「適応」という言葉です。
変化を止める法律ではありません。原因を減らす取り組みとは別に、「すでに起きている変化に、こちらが合わせる」ための法律です。
そして条文には、熱中症対策という具体名が入っています。
実務は、次のような形になります。
- 気温が上がることは、自分たちでは止められない
- 止められないので、暑くても暮らせる形に変える
- 日陰、休憩場所、水、冷房、時間帯の変更
- 学校、高齢者、屋外で働く人で、必要な対策が違う
- そして、効果が出たかどうかは数年単位でしか分かりません
「前提条件が変わったことを認めて、やり方のほうを変える」という仕事です。
企業でも、まったく同じ場面が増えています。
市場が縮む、人が採れない、原材料が上がる、規制が厳しくなる。どれも自社では止められません。
そして多くの企業で、止められないものを止めようとし続けます。営業は数字を上げろと言われ、人事は採用を増やせと言われる。ところが「この条件はもう戻らない」と認めて、やり方のほうを設計し直す役割が、誰にも割り当てられていません。だから、同じやり方のまま人だけが疲れていきます。
求人票では、事業企画、経営企画、人事企画、業務改革、リスク管理といった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業や制度の名前を出さないことです。どの条件がもう戻らないと判断したか、その判断を何を根拠にしたか、やり方をどう変えたか、そして変えたあと何が改善したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
熊谷で、どの経験が値になるか
1. 「もう戻らない」と判断した経験
止められないものを認めるのは、社内でいちばん言いにくいことです。それを言って、やり方を変えた経験が値になります。
2. 相手ごとに必要な対策が違うことを扱った経験
学校、高齢者、屋外で働く人。同じ現象でも、必要な対策が違う。この見方は、企業の顧客対応と人事の両方で効きます。
3. 効果が数年後にしか出ないものを続けた経験
やめても、その年は困りません。続けた根拠を説明できる人は多くありません。
4. 農業と市街地の両方を抱える都市の実務
条件がまったく違う区域を同じ計画で扱う。広域を担当する職務で効きます。
5. 開発許可と建築確認の実務
審査する側にいた経験は、そのまま職種になります。
県内・県外の求人を見るときに
熊谷市は埼玉県北部の中心にあり、県北や北関東を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。都内への通勤も現実的な距離です。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○対策を担当」では読み手に何も残りません。どの条件がもう戻らないと判断し、やり方をどう変えたか。
変えても効かなかった部分を書く
全部が効くことはありません。効かなかった対策とその理由を書けると、測っていたことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる施設や区域の数、対策の件数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
暑さを前提にした建物と設備の設計は、扱える人が限られる
日射の遮蔽、断熱、通風、空調の容量、外部の休憩場所。気温が上がることを織り込んだ設計と改修は、同じ条件の地域に施設を持つ企業から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。対策の事業に関わったなら、対象の規模、事業費、対策の件数、変える前と後の差で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 熊谷市の一般行政職はラスパイレス指数101.2、平均給与月額388,562円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数も年齢も給料月額も、埼玉県内3市の先頭です
- それでも総額は3市で最下位。諸手当57,762円は施行時特例市23市で下から2番目です
- 地域手当を除いた手当は総額の12.3%。87.7%は給料表と地域手当で決まります
- 年ごとに動く部分が小さいので、去年の支払金額が翌年もほぼそのままです
- 「もう戻らない」と認めてやり方を設計し直した経験は、企業でいちばん必要とされています(気候変動適応法1条)
よくある質問
指数も給料月額も3市で最も高いのに、総額が最下位なのはなぜですか
諸手当です。熊谷市57,762円に対し、草加市94,014円、春日部市77,930円。地域手当を引いた残りで比べると、熊谷市約47,838円、草加市約75,696円、春日部市約58,904円。総額に占める割合も12.3%、19.0%、14.9%と開きます。給料表の上での位置と、総額の位置は一致しません。
諸手当が薄いことは、不利になりますか
比較の基準としては、いちばん使いやすい位置です。地域手当を除いた手当が総額の12.3%しかないので、年ごとに動く部分がほとんどありません。去年の源泉徴収票の支払金額が翌年もほぼそのままで、求人票の想定年収とそのまま並べて比べられます。諸手当が4分の1を超える団体では、1年ぶんだけでは高い年か低い年か分かりません。
暑さ対策のような仕事は、実績として書きにくいです
書くのは「もう戻らない」と認めた判断のほうです。どの条件がもう戻らないと判断し、何を根拠にし、やり方をどう変えたか。企業でも市場の縮小や人手不足は止められないのに、「もう戻らない」と認めて設計し直す役割が誰にも割り当てられていません。効かなかった対策とその理由も入れてください。