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桑名市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
この連載では、指標によって順位が大きく動く市をたくさん扱ってきました。指数1番目で給料月額37番目、総額24番目で国ベース63番目。そういう市ばかりです。
桑名市は、そうなりません。
指数10番目、給料月額11番目、諸手当10番目、総額4番目、国ベース3番目。
どこを見ても上位に並びます。
桑名市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、桑名市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 桑名市 | 101団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.5 | 10番目 |
| 平均年齢 | 43.3歳 | 27番目 |
| 平均給料月額 | 329,300円 | 11番目 |
| 諸手当月額 | 84,923円 | 10番目 |
| 平均給与月額 | 414,223円 | 4番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 375,226円 | 3番目 |
| 地域手当以外 | 65,165円 | 26番目 |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも6%です。給料月額にかけると、概算で19,758円。諸手当84,923円からこれを引くと、残りは65,165円。総額の15.7%になります。
唯一、少し下にあるのが地域手当以外です
6つの指標のうち、5つが3番目から11番目に収まります。
地域手当以外だけが26番目。それでも真ん中より上です。
つまり、どの要素も欠けていません。
この連載では、指数が上位でも外側が薄くて総額の順位を落とす市を扱いました。桑名市は、そこで落ちていません。
給料表の水準が上位で、外側も真ん中より上。だから総額が4番目まで来ます。
同じ6%の11団体でも、外側は53,504円開きます
この101団体のうち、地域手当が6%の団体は11あります。
そのなかで、地域手当以外がいちばん厚い団体は93,600円、いちばん薄い団体は40,096円。
差は53,504円です。
同じ率で揃えても、給料表の外側だけでこれだけ開きます。
桑名市の65,165円は、その中間です。そして総額はこの11団体で2番目になります。
外側で突出していないのに総額が上位なのは、給料表の水準(給料月額11番目)が効いているからです。
県内の数字は三重県職員の転職に、同じ県の市は津市職員の転職に、同じ区分の市は藤枝市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
桑名市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 労働安全・職場環境の管理 | 安全衛生、労務、施設管理 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 観光振興、誘客の企画 | 販促企画、ブランドマネジメント |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「基準を作るだけでは、事故は減らない」実務
桑名市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
労働安全衛生法第1条は、この法律が、労働基準法と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とすると定めています。
3つが並んでいます。
危害防止基準の確立。責任体制の明確化。自主的活動の促進。
注目してほしいのは、2つめです。
基準を作るだけでは足りない、と書いてあります。
基準はあるのに事故が起きるのは、守らせる人が決まっていないからです。
「危ないと思ったら止める」というルールがあっても、誰が止めるのかが決まっていなければ、誰も止めません。
止めれば工程が遅れます。遅れた責任は、止めた人に向きます。
だから、止める権限と、止めたときに責められない立場を、セットで決めておく必要があります。
それが「責任体制の明確化」です。
実務は、次のような形になります。
- 基準を作るのは、いちばん簡単
- 守らせる人を決めるのが、いちばん難しい
- 決めた人が現場より弱い立場だと、機能しない
- そして、3つめの「自主的活動」がないと、決められたことしかやらなくなる
- 決められていない危険は、誰も見ません
企業でも、まったく同じ構造です。
品質の合否判定、出荷の可否、工事の中止、システムの緊急停止、取引の打ち切り。どれも「止める」判断です。
そして多くの企業で、こうなります。基準は文書になっています。
ところが、止める権限が現場の担当者にありません。
上に上げると、「本当に止める必要があるのか」と聞かれます。
聞かれた担当者は、次から上げなくなります。
そして、止めなかったことは記録に残りません。
止めて何も起きなかった場合だけ、「過剰だった」と言われます。
止める人を守らないと、止める仕組みは動きません。
求人票では、安全衛生、品質保証、生産管理、リスク管理、内部統制といった名前で書かれています。
書くときのこつは、基準を整備したと書かないことです。止める権限を誰に置いたか、その人が現場より弱い立場にならないよう何をしたか、止めたあとに責められない形をどう作ったか、そして実際に止まった事例が出たかどうか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
桑名で、どの経験が値になるか
1. 止める権限を置いた経験
誰が止めるかを決める。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 止めた人を守った経験
遅れの責任が止めた人に向かない形を作った経験は、強く読まれます。
3. 決められていない危険を見つけた経験
基準に書かれていないものを拾った経験は、そのまま安全衛生で効きます。
4. 止めなかった判断を記録に残した経験
止めないと決めたことも判断です。残した経験はめったにありません。
県内・県外の求人を見るときに
桑名市は三重県の北端にあり、愛知県に接しています。中京圏を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「安全管理を担当」では読み手に何も残りません。止める権限を誰に置き、その人をどう守ったか。
止められなかった話を書く
危ないと思っても止まらないことがあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象の施設数、点検の回数、関わった年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士、衛生管理者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
三川の合流部を見てきた技術者は、扱える人が限られる
堤防、河口の潮位、内水の排除、地盤の沈下。大きな川が集まる場所の構造物を管理してきた経験は、建設コンサルタントや防災関連の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。安全や施設に関わったなら、対象の施設数、点検の回数、事業費、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 桑名市の一般行政職はラスパイレス指数100.5、平均給与月額414,223円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数10番目、給料月額11番目、諸手当10番目、総額4番目、国ベース3番目とどこを見ても上位です
- 唯一、地域手当以外だけが26番目。それでも真ん中より上で、どの要素も欠けていません
- どの列を見ても同じような答えが出る団体は、この連載ではめずらしい部類です
- 同じ6%の11団体でも、地域手当以外は40,096円から93,600円まで53,504円開きます
- 団体の数字が素直でも、あなた個人の額が読めるようになるわけではありません
よくある質問
どの指標も上位なのは、給与が高い団体ということですか
どの要素も欠けていない、ということです。給料表の水準が上位で、外側も真ん中より上。だから総額が4番目まで来ます。指数が上位でも外側が薄くて順位を落とす団体もあります。
地域手当以外が26番目なのは、薄いということですか
真ん中より上です。ただし同じ6%の11団体でも、この部分は40,096円から93,600円まで開きます。団体をまたいでこれだけ開くものは、団体のなかでも当然開きます。
諸手当84,923円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当6%の概算19,758円を除いた、65,165円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は15.7%です。