自治体別 / 市
武蔵野市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
前回の今治市職員の転職では、101団体という大きな母集団で、地域手当0%の団体だけに絞っても説明力が1.1ポイントしか動かないことを書きました。
武蔵野市が属する区分では、同じ操作で32.1ポイント動きます。
同じことをして、結果がまったく違う。その理由が、この区分の地域手当の散らばり方にあります。
武蔵野市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、武蔵野市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 武蔵野市 | 59団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.9 | 19番目 |
| 平均年齢 | 40.8歳 | 47番目(若い側) |
| 平均給料月額 | 319,100円 | 25番目 |
| 諸手当月額 | 131,135円 | 3番目 |
| 平均給与月額 | 450,235円 | 3番目 |
| 地域手当以外 | 80,079円 | 11番目 |
平均給与月額(国ベース)は392,204円。地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも16%です。
地域手当16%を給料月額にかけると、概算で51,056円。諸手当131,135円からこれを引くと、残りは80,079円。総額の17.8%になります。
給料月額は25番目、ちょうど真ん中です。それでも総額は3番目です。
この区分は、地域手当が7段階に散っています
武蔵野市の区分は59団体。その地域手当の内訳はこうなります。
| 地域手当 | 団体数 |
|---|---|
| 0% | 16 |
| 3% | 5 |
| 6% | 10 |
| 10% | 6 |
| 12% | 8 |
| 15% | 7 |
| 16% | 7 |
0%から16%まで、7段階に散っています。
そして0%の団体は16しかありません。
揃えると、説明力が32.1ポイント跳ね上がります
| 並べる範囲 | 団体数 | 給料月額が説明する割合 |
|---|---|---|
| 武蔵野市の区分の全体 | 59 | 36.1% |
| うち地域手当0% | 16 | 68.2% |
59団体を混ぜると36.1%。0%の16団体に絞ると68.2%。
前回の今治市の区分では、101団体の全体で67.2%、0%の77団体で68.3%でした。動いたのは1.1ポイントだけです。
違いは、地域手当の散らばり方です。
今治市の区分は101団体のうち77団体がもともと0%でした。混ぜても、ほとんど0%の集まりです。
武蔵野市の区分は0%が16団体しかなく、残り43団体が3%から16%まで散っています。混ぜると、地域手当の差がそのまま総額の差になります。
団体の数ではなく、地域手当がどれだけ揃っているか。これが、説明力を決めています。
都内の数字は東京都職員の転職に、同じ都内の市は東村山市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
武蔵野市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 補助金・交付金の配分と検査 | 与信、投資判断、内部監査 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 商業地の振興、来街者の対策 | 販促企画、店舗開発、施設運営 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「渡すときに、使い道を指定しない」実務
武蔵野市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
地方交付税法第1条は、この法律が、地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能をそこなわずに、その財源の均衡化を図り、及び地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することによつて、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とすると定めています。
お金を配る法律に、「独立性を強化する」と書いてあります。
ふつう、お金を出す側は口を出します。
この法律は、その逆を目的にしています。
最初に書かれているのは「権能をそこなわずに」です。財産の管理も、事務の処理も、行政の執行も、受け取る側が自分で決める。そこには手を出さない。
そのうえで財源の均衡化を図る。
渡すけれど、使い道は指定しない。これが、この法律の構造です。
理由を考えると、はっきりします。
使い道を指定すると、受け取る側は考えなくなります。
指定された使い方をすることが目的になり、自分のところで何が必要かを見なくなる。
そして、渡す側は現場を知りません。
実務は、次のような形になります。
- 配る基準は、全体で公平でなければならない
- ところが、必要なものは場所ごとに違う
- だから、額は基準で決めて、使い道は決めない
- すると「何に使ったのか」が説明できなくなります
- 説明を求められると、結局ひもを付けたくなります
企業でも、まったく同じ問題があります。
部門への予算配分、子会社への資金、拠点ごとの裁量枠、研究費、販促費。どれも「渡すけれど口は出さない」と「何に使ったか説明させる」の間で揺れます。
そして多くの企業で、こうなります。最初は裁量を持たせます。
そのうち、使い方に差が出ます。うまく使う部門と、そうでない部門が分かれる。
すると、使い方のルールが増えます。
ルールが増えるほど、現場は「決められたとおりに使う」ようになります。
そして、裁量枠だったはずのものが、ただの経費項目になります。
渡す側が現場を知らないまま、使い道だけを細かくしていく。これが、いちばんよく起きる失敗です。
求人票では、経営企画、管理会計、内部監査、事業企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、配った額を書かないことです。配る基準をどう作ったか、使い道をどこまで縛ると決めたか、その判断の理由をどう説明したか、そして使われ方をあとからどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
武蔵野で、どの経験が値になるか
1. 縛らないと決めた経験
口を出さないことを、意識して選んだ。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 配る基準を作った経験
全体で公平な基準を作る。個別の事情を聞きながら、それでも基準に落とした経験は強く読まれます。
3. 使われ方をあとから確かめた経験
渡して終わりにしなかった経験は、そのまま管理会計や内部監査で効きます。
4. ルールを増やさずに済ませた経験
問題が起きたときに、ルールを足す以外の方法をとった経験は、めったにありません。
都内・近県の求人を見るときに
武蔵野市は東京都の多摩東部にあり、都心へのアクセスがよい位置です。都内全域を担当エリアとする求人でも、通勤の選択肢が広く残ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「補助金を担当」では読み手に何も残りません。配る基準をどう作り、使い道をどこまで縛ると決めたか。
うまくいかなかった配分を書く
渡したあとに想定と違う使われ方をすることがあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、配分した金額、対象の件数、関わった年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
密集した市街地を見てきた技術者は、扱える人が限られる
狭い道路、地下埋設、使いながらの改修、周辺への影響。余白のない場所で工事を通してきた経験は、建設コンサルタントや不動産・設備の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。予算や補助金に関わったなら、配分した金額、対象の件数、執行率、削減できた費用で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 武蔵野市の一般行政職はラスパイレス指数99.9、平均給与月額450,235円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 給料月額は59団体で25番目(真ん中)なのに、総額は3番目です
- この区分は地域手当が0%から16%まで7段階に散り、0%は16団体しかありません
- 59団体の全体で36.1%、0%の16団体で68.2%。32.1ポイント動きます
- 今治市の区分(101団体、うち77団体が0%)では1.1ポイントしか動きませんでした
- 決めているのは団体の数ではなく、地域手当がどれだけ揃っているかです
よくある質問
給料月額が25番目なのに総額が3番目なのはなぜですか
地域手当16%が乗るからです。319,100円の16%は51,056円。給料月額が真ん中でも、率が大きければ総額は上位に来ます。地域手当以外も59団体で11番目と厚い数字です。
前回の今治市と、なぜ結果が違うのですか
地域手当の散らばり方が違うからです。今治市の区分は101団体のうち77団体がもともと0%なので、絞ってもほとんど同じ集まりです。武蔵野市の区分は0%が16団体しかなく、残りが3%から16%まで散っています。
諸手当131,135円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当16%の概算51,056円を除いた、80,079円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は17.8%です。