自治体別 / 市
尾道市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
尾道市の平均年齢46.4歳は、同じ類似団体類型区分の101団体のなかで1番目です。
そして平均給料月額350,700円も1番目。
地域手当は0%です。それでも平均給与月額は2番目、国ベースは4番目。
乗るものが何もないまま、上位にいます。
尾道市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、尾道市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 尾道市 | 101団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.5 | 9番目 |
| 平均年齢 | 46.4歳 | 1番目 |
| 平均給料月額 | 350,700円 | 1番目 |
| 諸手当月額 | 69,792円 | 27番目 |
| 平均給与月額 | 420,492円 | 2番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 373,035円 | 4番目 |
| 地域手当以外 | 69,792円 | 17番目 |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも0%です。だから諸手当69,792円のすべてが人ごとに違う部分になります。総額の16.6%です。
年齢と給料月額が、どちらも1番目です
この連載では、平均年齢が高い団体ほど平均給料月額も高く出ることを何度も確かめてきました。
尾道市は、その両方が1番目です。
指数100.5は9番目。上位ではありますが、1番目ではありません。
それでも給料月額が1番目なのは、年齢が押し上げているからです。
前回とりあげた座間市と並べると、はっきりします。座間市は指数102.3が59団体で1番目なのに、給料月額は45番目。平均年齢38.8歳です。
尾道市とは7.6歳差で、給料月額は41,800円差。この連載で使ってきた1歳あたり約5,288円という目安で計算すると40,189円。実際の差との違いは1,611円だけです。
地域手当0%で、総額2番目です
101団体のうち、地域手当を受け取っている団体は24あります。
尾道市は0%。それでも総額2番目です。
給料月額が1番目だからです。
この連載では、乗るものがない団体は混ぜて比べると下に押されると書いてきました。尾道市は、押されてなお2番目にいます。
そして国ベースでは4番目。国の制度に合わせて計算し直しても、順位がほとんど変わりません。
県内の数字は広島県職員の転職に、同じ県の市は福山市職員の転職に、比較した市は座間市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
尾道市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 事業承継の相談、中小企業の支援 | 事業承継支援、与信、法人営業 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 空き家・空き店舗の活用 | 資産管理、店舗開発、用地開発 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「相続のルールが、事業を壊すことがある」実務
尾道市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第1条は、この法律が、中小企業について、代表者の死亡等に起因する経営の承継がその事業活動の継続に影響を及ぼすことにかんがみ、遺留分に関し民法の特例を定めるとともに、中小企業者が必要とする資金の供給の円滑化等の支援措置を講ずることにより、中小企業における経営の承継の円滑化を図り、もって中小企業の事業活動の継続に資することを目的とすると定めています。
「遺留分に関し民法の特例を定める」。
わざわざ民法の例外を作っています。
理由は単純です。
相続では、財産を法定の割合で分けるのが原則です。
ところが、会社の株を子どもたちで等分すると、誰も過半数を持たなくなります。
すると、何も決められません。
そして、決められない会社は動きません。
公平に分けたことが、事業を壊します。
だから、そこだけ例外を作る。
実務は、次のような形になります。
- 公平に分けることと、動かし続けることは両立しない
- どちらかを選ぶ必要がある
- 選ぶ話は、本人が元気なうちにしか進まない
- ところが、元気なうちは切り出しにくい
- そして、切り出せないまま時間が過ぎます
企業でも、同じ形の問題があります。
部署の分割、担当の引き継ぎ、共同で持っている権利、複数社にまたがる事業。どれも「みんなで少しずつ持つ」と、決められなくなります。
そして多くの企業で、こうなります。揉めないように、均等に分けます。
均等にすると、誰も決められません。
決められないので、前任者に聞きに行きます。
前任者はもういません。
そして、止まった案件が積み上がります。
「公平に分ける」は、揉めないための工夫であって、動かすための設計ではありません。
求人票では、事業承継支援、法務、事業企画、与信、経営企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、承継を支援したと書かないことです。公平と決定のどちらを優先すべきだと判断したか、その話をいつ切り出したか、決める人を1人に寄せるときに何を渡したか、そして決まる状態が続いたかをどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
尾道で、どの経験が値になるか
1. 均等に分けない判断をした経験
揉めない方法を、あえて取らなかった。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 元気なうちに切り出した経験
まだ問題になっていない話を持ち出した経験は、強く読まれます。
3. 決める人を1人に寄せた経験
そのかわり、他の人に何を渡したか。ここまで設計した経験はめったにありません。
4. 止まった案件を動かした経験
決められる状態に戻した経験は、そのまま事業企画で効きます。
県内・県外の求人を見るときに
尾道市は広島県の東部にあり、しまなみ海道で愛媛県と結ばれています。備後地域から瀬戸内全体までを担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「事業承継支援を担当」では読み手に何も残りません。公平と決定のどちらを優先すべきだと判断し、いつ切り出したか。
間に合わなかった話を書く
切り出せないまま時間が過ぎることがあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象の事業者数、相談の件数、関わった年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
坂と島を見てきた技術者は、扱える人が限られる
車が入らない斜面、階段状の宅地、島への水道と道路、塩害。条件の厳しい地形を管理してきた経験は、建設コンサルタントや設備関連の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。企業支援や施設に関わったなら、対象の事業者数、相談の件数、予算の規模、関わった年数で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 尾道市の一般行政職はラスパイレス指数100.5、平均給与月額420,492円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均年齢46.4歳と平均給料月額350,700円が、どちらも101団体で1番目です
- 指数は9番目。給料月額を1番目まで押し上げているのは年齢です
- 座間市(38.8歳)とは7.6歳差で給料月額41,800円差。1歳あたり約5,288円の目安との違いは1,611円だけ
- 地域手当0%で、総額2番目・国ベース4番目。乗るものがないまま上位にいます
- 平均年齢が高い団体では、団体の平均はあなたより上の世代の数字になります
よくある質問
指数が9番目なのに給料月額が1番目なのはなぜですか
平均年齢46.4歳が101団体で1番目に高いからです。指数は職員の学歴と経験年数の構成を国と同じに揃えて計算するので年齢構成の違いが消えますが、平均給料月額は在職者の実額なので消えません。
給料月額350,700円は、自分の額に近いですか
46.4歳という構成のなかでの平均です。1歳あたり約5,288円で計算すれば、10歳下の職員とは5万円以上の開きになります。団体の平均は、あなたの年齢の人の数字ではありません。
諸手当69,792円のうち、自分に関係するのはどこですか
全部です。地域手当が0%なので、時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は16.6%です。