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業界研究 / 総合コンサルティング

総合コンサルティングの選考フローと、面接で見られている観点

総合コンサルティングの選考は、公務員の採用試験とは型がまったく違います。筆記・適性検査で足切りがあり、複数回のケース面接で「構造化し、仮説を立て、提案する」力を実物で見る——この型は、ITコンサルの選考と共通ですが、総合コンサルではケースの題材が公共部門に限られず、民間企業の題材で出されることがある点と、面接の回数が多く、最終にパートナーが出る点に特徴があります。財政課の経験を持つ方がこの選考で戸惑うのは、公共の題材なら答えられるのに、民間の題材で「行政の視点しかない」と見られることと、査定の型(出てきたものを判断する)で答えて提案まで届かないことです。

もう1つの特徴は、公共部門の枠で応募していても、選考の一部は全社共通で、公共部門の面接官だけで完結しないことがある点です。全社共通の段階では、公共の知識より「コンサルとしての基礎」が見られます。

この記事では、総合コンサルティングの選考の一般的な流れ、ケース面接で見られる観点(公共と民間の題材)、財政課の経験に固有の質問の型、公共部門ならではの確認事項、服務の線を整理します。業界の構造と職種ごとの評価は総合コンサルティングは公務員のどの経験を評価するかに書いています。選考の流れと回数は会社ごとに違うので、この記事は一般的な形の説明です。ITコンサルの選考との共通点はITコンサルティングの選考フローとあわせて読むと見えます。

業界構造の要点——選考で前提になること

総合コンサルの公共部門は、自治体の総合計画・総合戦略(まち・ひと・しごと創生法第10条に基づく市町村の総合戦略は策定が努力義務)の策定支援、業務改革、PPP/PFI、公共施設マネジメント、行政評価、DX計画を受託し、計画の財政フレームは地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条により毎年度公表される健全化判断比率を前提にします。受託は地方自治法第234条の契約方法のうち、施行令第167条の2第1項第2号の「性質又は目的が競争入札に適しない」契約としてプロポーザル方式で選ばれることが多く、複数年度の支援は債務負担行為(同法第214条)で予算を組みます。

選考で前提になるのは、「総合コンサルは民間向けの比重が大きく、公共部門はその一部」という会社の構造です。公共部門の枠で応募しても、会社全体の採用基準(コンサルとしての基礎、論理、構造化)を先に通り、そのうえで公共部門の面接で「発注者の内側の経験」が評価されます。財政課の方は後者で強く、前者は準備が要ります。

選考の流れ——一般的な形

段階内容位置づけ
1. 書類選考履歴書、職務経歴書。会社によっては志望理由書財政課の経験を「財源と実行」の軸で書けているかで通過が決まる
2. 筆記・適性検査論理・数的・言語の筆記、適性検査。会社によっては英語足切りに使われる。公務員試験の教養に近い部分もあるが、時間制限が厳しい
3. ケース面接(複数回)テーマを与えられ、その場で構造化し、仮説と提案を述べる。公共の題材とは限らない。面接ごとに面接官と題材が変わる最も重い段階。「仮説と提案」まで言えるか、民間の題材でも構造化できるか
4. 部門面接(公共部門)公共部門のマネージャーやパートナー。経験の具体、発注者の内側の理解、一緒に働けるか財政課の経験の具体性が最も評価される段階
5. 最終面接(パートナー)会社の方向性との一致、長く働けるか、人物「なぜ発注者側から支援側へ」の説明が固まっているか
6. オファー面談労働条件と職位の提示労働基準法第15条により条件は書面などで明示される。入社時の職位を確認する

大手の総合コンサルでは面接が5回以上になることもあり、ケース面接が複数回に分かれます。全社共通の段階(筆記、ケース)と公共部門の段階(部門面接)を分けて準備するのが要点です。

ケース面接——公共の題材と民間の題材

公共の題材(「ある自治体の公共施設の再編をどう進めるか」「総合戦略の実行が進まない自治体をどう支援するか」)では、財政課の経験が直接効きます。ただし、査定の型で答えないこと。「担当課の計画が甘いので差し戻す」は判断であって提案ではありません。現状の構造化→原因の仮説→提案→根拠と留保の順で、「再編の遅れは①住民合意、②財源、③庁内調整に分けられる。この自治体では②が主因で、更新費用の年度計画に起債と基金が重なっていない。したがって、財政フレームを先に作り、議会に示せる形にする。ただし住民合意の時間が要る」——この粒度です。

民間の題材(「ある小売企業の売上が落ちている。どうするか」)では、財政課の経験は直接には効きません。ここで「行政の視点しかない」と見られないために、構造化の型そのものは公共でも民間でも同じだと理解しておくことが要点です。売上を「客数×客単価」に分け、客数を「新規×既存」に分け、原因の仮説を置いて提案する——この型は、財政課で歳入を「税×交付税×国庫支出金」に分け、税を「個人×法人×固定資産」に分けて分析していたのと同じ構造です。財政課の分析の型を、民間の題材に移す練習が、総合コンサルのケースの準備です。

もう1つ注意したいのは、ケースに自分の自治体の未公表の情報を使わないことです。地方公務員法第34条の秘密を守る義務は退職後も続きます。公表されている情報(予算書、計画、健全化判断比率の公表資料)は使えますが、未公表の財政見通し、査定の内訳、庁内の判断は使えません。

面接で問われる質問の型——財政課の経験に固有のもの

1. 「あなたの自治体の課題は何で、どうすべきだと思うか」。部門面接で最も多い質問で、ケースと同じ順で3分以内に答えます。「どうすべきか」まで言い切ることが評価の分かれ目です。

2. 「計画の財政フレームで、何を判断し、何を変えたか」。「発注者の内側」であることを示す質問です。「総合戦略の施策に起債と補助金の年度計画を重ね、実行できない年度の施策を後ろにずらした」など、自分の判断が計画の形にどう影響したかを具体的に話します。

3. 「コンサルは自治体の側に立つが、決める権限はない。どう考えるか」。「発注者側に立つ受注者」の二重性を確かめる質問です。「決める側から、提案して自治体が決める側に変わる。財政課がどの説明で納得するかを知っているので、その視点で提案を組む」と、転換の理解と経験の使い方を1つの答えにまとめます。

4. 「民間企業の案件に配属される可能性がある。どう考えるか」。総合コンサルに固有の質問です。公共部門の枠で応募していても、会社の構造上この質問は来ます。「公共部門で発注者の内側の経験を活かしたいが、構造化と提案の型は共通なので、民間の案件でも学ぶことがある」と、希望と柔軟さの両方を示すのが型です。ただし、配属の範囲は労働条件通知書で確かめます。

5. 「自分の自治体と、他の自治体で、運用はどう違うと思うか」。複数の自治体を相手にする視点の有無を見ています。共通する制度(地方自治法、地方財政法、健全化法)と、自治体ごとの運用を分けて答えます。

自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

公共部門ならではの確認事項

在職中に、応募先の会社の調達に関与していたか。財政課でコンサルティング業務の委託料を査定していた、プロポーザルの審査委員を務めていた——これらに該当する場合、選考の中で正直に伝え、応募の時期と入社後の担当の切り分けを会社側と相談します。

退職後、元の職場に働きかける立場にならないか。地方公務員法第38条の2は、再就職者が離職前の職務に関して元の職場に働きかけることを規制しています。公共部門で元の自治体を担当すると規制との関係が問題になりうるので、元の自治体を担当から外す、一定期間は接触しないといった配慮を会社側が求めることがあります。再就職者による働きかけの規制に、規制の内容を整理しています。

守秘義務。前述のとおり、ケースと面接で未公表の情報を使ってはいけません。守秘義務は退職後も続くかに線引きを整理しています。

在職中の選考活動。面接の回数が多いので、年次有給休暇の使い方を計画的に。地方公務員法第35条の職務専念義務との関係は退職前に転職先と条件を詰めてよいかに整理しています。

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まとめ

よくある質問

ケース面接で民間企業の題材が出ました。行政の経験しかないと答えてしまいましたが、落ちますか

その答えだけで終わると、「構造化の型を持っていない」と見られる可能性が高いです。総合コンサルのケースで見られているのは題材の知識ではなく、要素に分解し、原因の仮説を置き、提案する型です。財政課で歳入を税・交付税・国庫支出金に分け、税を個人・法人・固定資産に分けて分析していた型は、売上を客数と客単価に分ける型と同じです。次の機会があれば、「行政の経験しかない」ではなく「分析の型は同じなので、この題材ならこう分ける」と進めてください。

筆記試験はどのくらい難しいですか。公務員試験の教養で足りますか

会社によって内容も水準も違いますが、論理・数的・言語の筆記は公務員試験の教養(数的処理、判断推理、文章理解)と重なる部分があります。違うのは時間制限の厳しさで、1問あたりの時間が短いことが多いです。公務員試験の教養を経験している方は、内容より速さの練習に重点を置いてください。英語の筆記が課される会社もあるので、応募要件で確かめます。

公共部門で応募したのに、民間の案件に配属される可能性があると言われました。避けられますか

総合コンサルは民間向けの比重が大きく、公共部門の枠で入っても、会社の構造上、民間の案件に配属される可能性を面接で確認されることがあります。配属の範囲は労働基準法施行規則第5条第1号の3により「業務の変更の範囲」として労働条件の明示事項なので、オファーの段階で通知書に書かれている範囲を確かめ、公共部門に限定したい場合は交渉の対象にしてください。口頭で「基本は公共部門」と言われても、変更の範囲が全社であれば契約上は民間の案件もありえます。

出典

  1. まち・ひと・しごと創生法 第10条(市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略)|e-Gov法令検索
  2. 地方公共団体の財政の健全化に関する法律 第3条(健全化判断比率の公表等)|e-Gov法令検索
  3. 地方自治法 第214条(債務負担行為)/第234条(契約の締結)|e-Gov法令検索
  4. 地方自治法施行令 第167条の2(随意契約)|e-Gov法令検索
  5. 地方公務員法 第34条(秘密を守る義務)/第35条(職務に専念する義務)/第38条の2(再就職者による依頼等の規制)|e-Gov法令検索
  6. 労働基準法 第15条(労働条件の明示)|e-Gov法令検索
  7. 労働基準法施行規則 第5条(労働条件の明示事項)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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