制度とお金 / 共済
互助会・共済会の脱退
給与明細に、共済組合の掛金とは別に、「互助会費」や「共済会費」の控除がある方は多いはずです。この互助会・共済会は、共済組合とは別の組織で、退職時の扱いも別です。
共済組合は法律で定められた組織で、退職時の手続きは退職時の共済の手続きに書きました。互助会・共済会は、自治体ごとに条例や規約で設けられた厚生制度で、仕組みが自治体ごとに違います。そのため、退職時に何が起きるかも、自治体ごとに確かめる必要があります。
この記事では、互助会・共済会が何であって、退職でどうなるか、何を確かめるかを整理します。この記事は枠組みで、自分の互助会の扱いは、互助会の事務局と規約で確かめてください。
互助会・共済会とは——地方公務員法第42条の厚生制度
地方公務員法第42条は、地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならないと定めています。互助会・共済会は、この厚生制度を実施する仕組みの1つとして、自治体が条例や規則で設置したもの、または職員が規約で設立した団体です。
| 項目 | 共済組合 | 互助会・共済会 |
|---|---|---|
| 根拠 | 地方公務員等共済組合法 | 地方公務員法第42条を受けた条例・規則・規約 |
| 設置 | 法律で定められた組合 | 自治体ごと(条例で設置、または任意団体) |
| 加入 | 法律により組合員 | 条例・規約により職員が会員 |
| 財源 | 掛金と自治体の負担金 | 会費(給与から控除)と、自治体からの補助(ある場合) |
| 事業 | 短期給付、長期給付、福祉事業(第112条) | 慶弔給付、医療費の補助、貸付、積立、施設利用、レクリエーションなど |
| 退職時 | 法律の定めによる | 条例・規約の定めによる |
名称は自治体によって、職員互助会、職員共済会、職員厚生会、職員互助組合などさまざまです。名前に「共済」が付いていても共済組合ではありません。給与明細で、共済組合の掛金とは別に控除されている項目が、この記事の対象です。
退職で起きること
規約によりますが、一般的には次の形です。
| 起きること | 内容 | 確かめること |
|---|---|---|
| 会員資格の喪失 | 退職の日(またはその翌日)に会員でなくなる。本人の脱退の届出が要るかは規約による | 届出の要否と様式 |
| 退会給付金 | 在会期間や納めた会費に応じて、退会時に給付金(退会餞別金、脱退給付金など)が出る互助会がある。出ない互助会もある | 有無、額の計算、支給の時期 |
| 貸付の精算 | 互助会の貸付を受けていれば、残債を精算。退会給付金や退職手当からの償還が定められていることがある | 残債の額と精算の方法 |
| 積立の払戻し | 互助会の積立貯金があれば払戻し | 払戻しの時期 |
| 給付の終了 | 慶弔給付、医療費の補助、家族の給付などは退職後は受けられない。退職前に生じた事由の給付は、請求の期限内なら請求できることが多い | 未請求の給付の有無と期限 |
| 施設利用の終了 | 保養所、契約施設の割引などは会員でなくなれば使えない。退職者向けの会員制度(OB会など)を設けている互助会もある | 退職者向けの制度の有無 |
退会給付金の有無と額は、互助会ごとに大きく違います。会費の一部を積み立てて退会時に返す仕組みの互助会では、在会期間が長いほど額が大きくなります。給与の控除で毎月払っている会費が、退会時に一部戻ってくるのかどうかは、退職の資金計画に効くので、退職前に事務局に「退会給付金の有無と、自分の場合の見込額」を聞いてください。
未請求の給付を確かめる
互助会の給付は、事由が生じたときに本人が請求するものが多く、請求を忘れているものがあります。
| 給付の例 | 確かめること |
|---|---|
| 結婚、出産、子の入学などの慶事の給付 | 退職前に事由が生じていて、未請求のものがないか |
| 医療費の補助(共済組合の給付に上乗せする形) | 退職前の受診分で未請求のものがないか |
| 災害の見舞金 | 同上 |
| 人間ドックなどの健診の補助 | 退職前に受診したものの補助を請求したか |
退職後は請求できない、または請求の期限が短い互助会が多いので、退職前に給付の一覧と自分の請求の履歴を照らし合わせてください。
税の扱い——退会給付金は確かめる
退会給付金を受け取る場合、所得税の扱いは、互助会の仕組みによって違います。会費を本人が負担していたか、自治体の補助が入っていたか、給付金の性格(会費の返還か、給付か)によって、所得の区分が変わります。一時所得として扱われる場合と、別の区分になる場合があるので、互助会の事務局に、給付金の所得の区分と、源泉徴収や支払調書の扱いを聞いてください。互助会が答えられない場合は、支給の通知を持って税務署に確かめます。
退職の年は、退職所得(退職手当)、給与所得、退職後の収入が重なる年です。退会給付金がどの区分に入るかで、確定申告の要否に影響することがあります(退職の翌年の確定申告)。
転職するとどうなるか
転職を考えている方にとって、互助会で効いてくる点は3つです。
1. 退会給付金があれば、退職の資金に入れられる
有無と額は互助会ごとに違います。退職前に見込額を聞いて、資金計画に入れてください。税の扱いも同時に確かめます。
2. 医療費の補助や慶弔給付は、転職先にはないことが多い
互助会の給付は、共済組合の給付に上乗せする自治体独自のものです。転職先の健康保険組合に付加給付があるか、福利厚生に同じものがあるかは、転職先ごとに違います。在職中に受けていた補助の額を把握しておくと、転職先の条件を比べるときの材料になります。
3. 退職前に、未請求の給付を請求する
退職後は請求できないものが多いので、退職の意思を伝える前に、給付の一覧と自分の履歴を照らし合わせるのが確実です。
手続きと期限
| 順序 | 手続き | 時期 | 場所 |
|---|---|---|---|
| 退職を考え始めたら | 給与明細の控除項目を書き出す | 最初に | 自分で |
| 同時に | 互助会の規約で、退職時の扱い(資格喪失の日、退会給付金、貸付、積立)を確かめる | 最初に | 互助会の事務局・規約 |
| 退職前 | 未請求の給付を請求する | 退職前(請求の期限内) | 互助会 |
| 退職前 | 退会給付金の見込額と、税の扱いを照会 | 退職前 | 互助会・税務署 |
| 退職時 | 脱退の届出(規約で要る場合)、貸付の精算、積立の払戻し | 退職日の前後 | 互助会 |
| 退職後 | 退会給付金の受取り、支給の通知の保管 | 互助会の定める時期 | 互助会 |
| 翌年 | 退会給付金の所得の区分に応じて確定申告 | 翌年3月15日まで | 税務署 |
誤解されやすい点
「互助会は共済組合の一部」と思い込む
別の組織です。共済組合は法律、互助会は地方公務員法第42条を受けた条例・規約で、退職時の手続きも別です。
「退職すれば互助会は自動で終わり、何も出ない」と思い込む
退会給付金が出る互助会があります。規約と事務局で確かめてください。
「退職後も互助会の給付を請求できる」と思い込む
退職後は請求できない、または期限が短いことが多いです。退職前に請求します。
「退会給付金は退職手当と同じ扱い」と思い込む
所得の区分は互助会の仕組みによります。事務局と税務署で確かめてください。
まとめ
- 職員互助会・共済会は、地方公務員法第42条の厚生制度を実施する、共済組合とは別の組織で、自治体ごとに条例・規則・規約で設けられています
- 退職で起きるのは、会員資格の喪失、退会給付金(ある場合)、貸付の精算、積立の払戻し、給付と施設利用の終了です。中身は規約によります
- 退会給付金の有無と額は互助会ごとに大きく違います。退職前に事務局に見込額を聞いてください
- 未請求の給付は退職前に請求します。退職後は請求できない、または期限が短いことが多いです
- 退会給付金の所得の区分は互助会の仕組みによるので、事務局と税務署で確かめてください
- 給与明細の控除項目を全部書き出して、それぞれの事務局に退職時の扱いを聞くのが、抜けを防ぐ最も確実な方法です
よくある質問
互助会の退会給付金は、いくらぐらい出ますか
互助会ごとに違い、出ない互助会もあります。一般的な仕組みは、会費の一部を積み立てて在会期間に応じて退会時に給付するもの、在会期間の区分ごとに定額を定めているもの、退会給付金の制度そのものがないものに分かれます。額は規約の別表で定められているので、互助会の事務局に「退会給付金の有無と、自分の在会期間での見込額」を聞いてください。退職の意思を伝えなくても、規約の確認として聞けます。受け取る場合は、所得の区分と源泉徴収の有無も同時に確かめてください。共済組合の掛金と違って、互助会費は自治体の判断で公費の補助が見直されてきた経緯があり、同じ自治体でも制度が改正されていることがあるので、古い情報ではなく現在の規約で確かめることが大切です。
互助会の貸付があります。退職時の精算は共済組合の貸付と同じですか
考え方は似ていますが、別の組織なので別に精算します。互助会の貸付は互助会の規約に基づくもので、退職で会員でなくなるため、残債の扱いを規約で定めています。退会給付金があればそれと相殺する、退職手当から本人の申出で償還する、自己資金で一括償還する、といった形があります。共済組合の貸付の精算とは別に、互助会の事務局に残債と精算の方法を確かめてください。両方に貸付がある方は、退職手当からの差引きが2つ重なるので、退職手当の見込額から両方の残債を引いた額が手元に入る額です。共済組合の貸付は共済貸付の残債はどうなるかに書いています。
退職後も、互助会の保養所や契約施設を使えますか
原則として使えませんが、退職者向けの制度を設けている互助会があります。保養所や契約施設の割引は会員の福利厚生なので、会員資格を失えば使えなくなります。ただし、退職者が一定の会費で加入できるOB会や退職者会員の制度を設けている互助会、退職後も一定期間は利用を認めている互助会があります。規約か事務局で、退職者向けの制度の有無を確かめてください。共済組合の福祉事業の施設は、任意継続組合員であれば引き続き利用できる仕組みが法律にあります(地方公務員等共済組合法第144条の2第1項)。互助会にはそれに相当する法律の定めがないので、規約次第です。施設の利用が退職後の生活に大きく効く方は少ないと思いますが、家族で使っていた方は、代わりの手段を考えておく材料になります。