自治体別 / 市
伊勢市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
伊勢市のラスパイレス指数98.3は、同じ類似団体類型区分の59団体のなかで38番目です。
ところが平均給料月額328,300円は9番目。29ランク上がります。
そして平均給与月額は46番目。また落ちます。
この連載では、この形を諫早市と岩国市で扱いました。伊勢市が3例目です。
伊勢市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、伊勢市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 伊勢市 | 59団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.3 | 38番目 |
| 平均年齢 | 43.1歳 | 15番目(高い側) |
| 平均給料月額 | 328,300円 | 9番目 |
| 諸手当月額 | 63,087円 | 48番目 |
| 平均給与月額 | 391,387円 | 46番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 351,049円 | 45番目 |
| 地域手当以外 | 63,087円 | 31番目 |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも0%です。だから諸手当63,087円のすべてが人ごとに違う部分になります。総額の16.1%です。
3例そろって、同じ形になります
| 市 | 指数の順位 | 給料月額の順位 | 総額の順位 |
|---|---|---|---|
| 諫早市 | 47番目 | 15番目 | 48番目 |
| 岩国市 | 43番目 | 8番目 | 42番目 |
| 伊勢市 | 38番目 | 9番目 | 46番目 |
3市とも、指数から給料月額へ大きく上がり、総額でほぼ元の位置に戻ります。
3市とも、地域手当0%です。
上げているのは年齢です。伊勢市の平均年齢43.1歳は59団体で15番目に高い。
落としているのは、地域手当0%と、諸手当の薄さです。伊勢市の諸手当は48番目。
この区分では、59団体のうち43団体に地域手当が乗ります。
乗るものがない団体は、給料表でどれだけ上がっても、総額で押し戻されます。
地域手当のない16団体で並べ直すと
| 見る項目 | 59団体での順位 | 0%の16団体での順位 |
|---|---|---|
| 平均給料月額 | 9番目 | 4番目 |
| 平均給与月額 | 46番目 | 5番目 |
| 地域手当以外 | 31番目 | 6番目 |
総額が46番目から5番目まで上がります。
そして地域手当以外も6番目。乗るものがない団体のなかでは、外側も厚いほうです。
諫早市も岩国市も、同じように上がりました。
県内の数字は三重県職員の転職に、同じ県の市は津市職員の転職と桑名市職員の転職に、同じ形の市は岩国市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
伊勢市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 観光事業者の登録・指導、受入れ整備 | 品質保証、規制対応、施設運営 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 門前町・商店街の振興 | 販促企画、店舗開発、施設運営 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「誰が名乗ってよいかを、先に決める」実務
伊勢市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
旅行業法第1条は、この法律が、旅行業等を営む者について登録制度を実施し、あわせて旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保するとともに、その組織する団体の適正な活動を促進することにより、旅行業務に関する取引の公正の維持、旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進を図ることを目的とすると定めています。
最初に来るのが「登録制度」です。
名乗るだけでは、営業できません。
理由は、旅行という商品の性質にあります。
お金を先に払い、サービスを受けるのはあとです。
そして、買う前に中身を確かめられません。
行ってみるまで、どんな宿かも、どんな案内かも分かりません。
だから、売る側が信用できるかどうかを、先に確かめておく必要があります。
そのための登録です。
実務は、次のような形になります。
- 中身を見てから買えない商品がある
- その場合、買う側は判断できない
- だから、売る側の資格のほうを確かめる
- 資格を確かめると、参入する人が減る
- そして、減りすぎると選べなくなります
企業でも、同じ形の判断があります。
取引先の選定、外注先の認定、代理店の資格、社内での権限付与。どれも「先に確かめておく」仕組みです。
そして多くの企業で、こうなります。基準を厳しくすれば、質は上がります。
ただし、通る相手が減ります。
減ると、残った相手の言い値になります。
そして、基準を緩めると、こんどは質が落ちます。
どちらに寄せても、代償があります。
難しいのは、基準の高さを決めることではなく、
「この基準で何社残るか」を先に見ておくことです。
残る数を見ずに基準だけ決めると、あとで例外を作ることになります。
そして、例外は記録に残りません。
求人票では、購買、調達、品質保証、内部統制、事業企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、基準を作ったと書かないことです。基準をこの高さにすると何社残ると見積もったか、残る数が足りないときに何を変えたか、例外を作るときの条件をどう決めたか、そして基準と実態がずれていないかをどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
伊勢で、どの経験が値になるか
1. 基準と残る数を同時に見た経験
厳しくすると減る、を先に計算する。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 例外の条件を決めた経験
例外を作らざるを得ないときに、その条件を明文にした経験は、強く読まれます。
3. 基準と実態のずれを見つけた経験
基準は満たしているのに質が落ちている場面を扱った経験は、めったにありません。
4. 買う前に確かめられない商品を扱った経験
中身が見えない取引をどう成立させたか。この構造を説明できる人は少ないです。
県内・県外の求人を見るときに
伊勢市は三重県の東部にあり、津市や松阪市にも出やすい位置です。県内全域を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「観光振興を担当」では読み手に何も残りません。基準をこの高さにすると何社残ると見積もり、足りないときに何を変えたか。
例外を作った話を書く
基準どおりにいかないことがあります。そのとき条件をどう決めたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象の事業者数、登録の件数、来訪者数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
人が集まる場所の整備を見てきた技術者は、扱える人が限られる
歩行者の動線、繁忙期の混雑、送迎の車、古い街並みでの工事。人が多い場所で工事を通してきた経験は、建設コンサルタントや不動産・設備の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。観光や施設に関わったなら、対象の事業者数、来訪者数、事業費、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 伊勢市の一般行政職はラスパイレス指数98.3、平均給与月額391,387円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数38番目から給料月額9番目へ29ランク上がり、総額46番目へ落ちます
- 諫早市・岩国市と合わせて3例そろい、3市とも地域手当0%です
- 上げているのは平均年齢43.1歳(15番目に高い)、落としているのは地域手当0%と諸手当48番目
- 0%の16団体で並べ直すと、総額は5番目・地域手当以外は6番目まで上がります
- 46番目という数字の大半は、比べる相手のせいです
よくある質問
指数38番目なのに給料月額9番目なのはなぜですか
平均年齢43.1歳が59団体で15番目に高いからです。指数は職員の学歴と経験年数の構成を国と同じに揃えて計算するので年齢構成の違いが消えますが、平均給料月額は在職者の実額なので消えません。
給料月額9番目なのに総額46番目なのはなぜですか
地域手当が0%で、諸手当も48番目と薄いからです。この区分では59団体のうち43団体に地域手当が乗るので、乗るものがない団体は総額で押し戻されます。
諸手当63,087円のうち、自分に関係するのはどこですか
全部です。地域手当が0%なので、時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。この金額は、0%の16団体のなかでは6番目です。