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糸島市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
糸島市の諸手当102,774円は、同じ類似団体類型区分の67団体のなかで1番目です。
平均給与月額427,574円も、1番目。
この連載で、区分1位が出たのは初めてです。
ところが、人によって動く部分だけを取り出すと2番目になります。
糸島市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、糸島市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 糸島市 | 67団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.6 | 14番目 |
| 平均年齢 | 42.3歳 | 30番目(高い側) |
| 平均給料月額 | 324,800円 | 10番目 |
| 諸手当月額 | 102,774円 | 1番目 |
| 平均給与月額 | 427,574円 | 1番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 380,645円 | 2番目 |
| 地域手当以外 | 83,286円 | 2番目 |
| 落ち幅 | 46,929円 | 7番目(大きい側) |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも6%です。給料月額324,800円の6%は19,488円。諸手当102,774円からこれを引くと、83,286円が地域手当以外で、これは総額の19.5%にあたります。
1位が2つ。それでも中身では1位ではありません
諸手当102,774円は67団体で1番目です。
そのうち19,488円は、地域手当6%という率で決まる部分です。
率で決まる部分は、同じ市のなかでは人による差がほとんど出ません。
残った83,286円が、人によって動く部分です。これは2番目。
1番目は、0%の那須塩原市の87,251円です。
| 市 | 地域手当 | 諸手当 | 地域手当以外 | 総額 | 外側の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 糸島市 | 6% | 102,774円 | 83,286円 | 427,574円 | 19.5% |
| 那須塩原市 | 0% | 87,251円 | 87,251円 | 404,851円 | 21.6% |
総額は糸島市のほうが22,723円高い。
ところが、人によって動く部分は那須塩原市のほうが3,965円厚い。
総額の1位と、人ごとに動く部分の1位は、別の市です。
那須塩原市は97本目に扱った市で、国ベースとの落ち幅がこの区分の1位でした。
6%は2団体しかありません
この区分67団体のうち、地域手当0%が64、3%が1、6%が2です。
6%の2団体が、総額の1位と2位を占めています。
| 市 | 給料月額 | 諸手当 | 地域手当以外 | 総額 |
|---|---|---|---|---|
| 糸島市 | 324,800円 | 102,774円 | 83,286円 | 427,574円 |
| 深谷市 | 335,100円 | 75,771円 | 55,665円 | 410,871円 |
同じ6%でも、外側は27,621円違います。
給料月額は深谷市のほうが10,300円高い。それでも総額は糸島市が16,703円上です。
率がそろっていても、外側はそろいません。
なお、3%の1団体は109本目に扱った市です。この区分は、率がそろいすぎていて団体どうしを率で比べにくい区分でした。
糸島市は、その64団体の外側にいる2つのうちの1つです。
県内の数字は福岡県職員の転職に、県内の市は福岡市職員の転職・北九州市職員の転職・久留米市職員の転職・飯塚市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
糸島市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 水産・農業の振興、産地の支援 | 事業開発、調達、ブランド企画 |
| 直売所や特産品の販路づくり | 販路開拓、営業企画、商品企画 |
| 観光の受入れ、来訪者の調整 | 事業運営、渉外、集客企画 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 海岸・漁港施設の維持管理 | 資産管理、施設運営 |
| 都市計画、市街地の整備 | 都市開発、施設企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 移住・定住の相談窓口 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「集まると、遅くなる」実務
糸島市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
水産業協同組合法第1条は、この法律が、漁民及び水産加工業者の協同組織の発達を促進し、もつてその経済的社会的地位の向上と水産業の生産力の増進とを図り、国民経済の発展を期することを目的とすると定めています。
目的が、組織の形から書かれています。
普通、法律は「何を実現するか」を書いて、やり方は自由にします。
この法律は違います。協同組織を発達させること自体を、先に置いています。
そして、その先に2つ並べています。
地位の向上と、生産力の増進。
立場の話と、量の話です。
一人ずつでは、立場が上がりません。
実務は、次のような形になります。
- 一人で交渉すると、条件は相手が決める
- だから、集まって交渉する
- 集まると、条件は動く
- ところが、決めるのに時間がかかる
- そして、速さを捨てて交渉力を取ることになります
企業でも、まったく同じ問題があります。
業界団体、共同購買、代理店会、共同配送、共通の規格づくり。どれも「一社では条件が変わらないので、集まる」という形で始まります。
そして、多くの場合こうなります。
集まる話が出ます。
全員が賛成します。
ところが、細かい条件で意見が割れます。
割れたまま、決めるのが半年遅れます。
遅れているあいだに、状況が変わります。
そのころには、最初の目的を覚えている人が減っています。
集まったまま速く決める形を作る仕事は、目立ちません。
そのぶん、やった人は「事務局をやっただけ」と言われます。
それでも、やった人がいた集まりだけが、何かを決めています。
求人票では、アライアンス、事業企画、渉外、調達、業界渉外といった名前で書かれています。
書くときのこつは、協議会を運営したと書かないことです。何社・何団体が入っていたか、何を決めるための集まりだったか、決め方をどう設計したか、そして実際に何が決まったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
糸島で、どの経験が値になるか
1. 利害が違う相手を1つの場に置いた経験
立場の違う人たちを同じ机につかせた経験は、企業にほとんどありません。
2. 決め方を先に決めた経験
何をどういう手順で決めるかを、話し合う前に設計した経験は、めったに書かれません。
3. 実際に何が決まったかを言える経験
集まりを開いた回数ではなく、決まった事柄を数えられる人は、そのまま事業企画で読まれます。
4. 一次産業と観光の両方を扱ってきた経験
とれる量も来る人の数も自分では決められない仕事を回してきた経験は、どの職種でも強く読まれます。
県内・県外の求人を見るときに
糸島市は福岡県の西部にあり、筑肥線と西九州自動車道が通ります。福岡市方面はもちろん、佐賀県方面も選択肢に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「協議会を担当」では読み手に何も残りません。何を決めるための集まりで、決め方をどう設計したか。
決まらなかった話を書く
話し合ったのに決まらなかった件。そこで何を変えたかまで書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、参加した事業者数、扱った品目数、続いた年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
海と山が近い市の施設を扱ってきた技術者は、扱える人が限られる
飛んでくる塩による腐食、急な斜面からの土砂、漁港と農地が隣り合う場所の排水。海岸線と山あいを1つの市として維持してきた経験は、建設コンサルタントやインフラの各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。産地の支援や観光に関わったなら、参加した事業者数、扱った量、来訪者数、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 糸島市の一般行政職はラスパイレス指数98.6、平均給与月額427,574円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 諸手当102,774円と総額427,574円が67団体で1番目。この連載で区分1位が出たのは初めてです
- ところが諸手当のうち19,488円は地域手当6%で決まる部分。残る83,286円が人ごとに動く部分で、こちらは2番目です
- 総額は那須塩原市より22,723円高いのに、人ごとに動く部分は那須塩原市のほうが3,965円厚い
- この区分で6%は糸島市と深谷市の2団体だけ。同じ6%でも外側は27,621円違います
- 地域手当以外83,286円は総額の19.5%。ここが、人ごとに違う部分です
よくある質問
区分で1番目というのは、給料が高いということですか
平均給与月額427,574円がこの区分でいちばん高い、という意味です。ただし諸手当のうち19,488円は地域手当6%で決まる部分で、人による差はほとんど出ません。人ごとに動く83,286円で見ると、この区分では2番目になります。
地域手当6%は、金額にするといくらですか
給料月額324,800円の6%で、概算19,488円です。諸手当102,774円からこれを引いた83,286円が地域手当以外で、総額の19.5%にあたります。
同じ6%の深谷市と、なぜこれだけ違うのですか
この調査からは分かりません。分かるのは、給料月額は深谷市が10,300円高く、地域手当以外は糸島市が27,621円厚く、総額は糸島市が16,703円上だという事実です。率がそろっていても、外側はそろいません。