自治体別 / 市
三郷市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
前回とりあげた草津市は、地域手当以外が112,935円。総額の25.2%でした。同じ類似団体類型区分で1番目の厚さです。
三郷市は47,578円。総額の12.8%です。
同じ59団体のなかで、65,357円の開きがあります。
三郷市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、三郷市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 三郷市 | 59団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.4 | 27番目 |
| 平均年齢 | 40.2歳 | 54番目(若い側) |
| 平均給料月額 | 306,000円 | 51番目 |
| 諸手当月額 | 65,938円 | 46番目 |
| 平均給与月額 | 371,938円 | 52番目 |
| 地域手当以外 | 47,578円 | 57番目 |
平均給与月額(国ベース)は349,579円。地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも6%です。
地域手当6%を給料月額にかけると、概算で18,360円。諸手当65,938円からこれを引くと、残りは47,578円。総額の12.8%になります。
同じ区分の両端に、草津市と三郷市が立っています
| 項目 | 草津市 | 三郷市 |
|---|---|---|
| 地域手当 | 10% | 6% |
| 平均給料月額 | 304,800円 | 306,000円 |
| 地域手当以外 | 112,935円(1番目) | 47,578円(57番目) |
| 総額に占める割合 | 25.2% | 12.8% |
| 平均給与月額 | 448,215円(4番目) | 371,938円(52番目) |
平均給料月額は、1,200円しか違いません。三郷市のほうが上です。
地域手当の率の差は4ポイント。金額にすると12,120円ほどです。
それでも総額は76,277円離れます。
差のほとんどを作っているのは、地域手当以外の65,357円です。
「地域手当以外」は、団体ごとにここまで違います
この連載では、地域手当以外が総額の14%から19%に収まる団体を多く見てきました。
草津市は25.2%、三郷市は12.8%。
同じ区分のなかで、倍近い開きがあります。
この部分は、時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。団体として時間外が少ないのかもしれませんし、役職者の割合が低いのかもしれません。調査の表からは、そこまでは読めません。
読めるのは「平均すると薄い」ということだけです。
県内の数字は埼玉県職員の転職に、同じ県の市は狭山市職員の転職と入間市職員の転職に、両端のもう一方は草津市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
三郷市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 不服申立て・審査請求の処理 | 法務、内部統制、品質保証 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 物流施設・産業用地の立地調整 | 用地開発、事業開発、渉外 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「決めた組織が、自分の決定を見直す」実務
三郷市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
行政不服審査法第1条第1項は、この法律が、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とすると定めています。
「違法又は不当な」と書いてあります。
違法だけではありません。
法律に違反していなくても、不当であれば見直しの対象になります。
そして、申し立てる先は裁判所ではなく、行政庁です。
決めた側の組織が、自分の決定を見直す。
これは、ふつうに考えれば成り立ちません。自分で決めたことを自分で覆すのは、誰にとっても気が進まない話です。
だから「公正な手続の下で」と書いてあります。
決めた人と、見直す人を分ける。そうしないと、この仕組みは形だけになります。
実務は、次のような形になります。
- 申立ての多くは、結論としては通らない
- それでも、手続きは同じように踏む
- 踏まないと、通るはずのものまで通らなくなる
- そして、見直す側は組織の内側にいます
- 内側にいる人が、内側の判断を否定することになります
企業でも、同じ形の仕組みがあります。
顧客からの異議申立て、評価への不服、取引先からの再交渉、社内通報、検査結果への再審査請求。どれも「決めた組織が、自分の決定を見直す」構造です。
そして多くの企業で、こうなります。窓口は作られます。
ところが、見直す人が、決めた人と同じ部署にいます。
同じ部署の人が、同僚の判断を覆すことになります。
だから、たいてい元の判断が維持されます。
そして「制度はあるが結果は変わらない」と言われるようになり、誰も使わなくなります。
使われなくなった窓口は、問題がないことの証拠として扱われます。
求人票では、内部統制、法務、品質保証、カスタマーサポート、監査といった名前で書かれています。
書くときのこつは、件数を書かないことです。決めた人と見直す人をどう分けたか、覆すときに何を根拠にしたか、覆した結果を元の部署にどう戻したか、そして同じ申立てが減ったかをどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
三郷で、どの経験が値になるか
1. 同僚の判断を覆した経験
組織の内側にいながら、内側の判断を否定する。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 決める人と見直す人を分けた経験
仕組みのほうを変えた話は、強く読まれます。
3. 通らない申立てを丁寧に処理した経験
結論が変わらないと分かっていても、手続きを省かなかった経験は、そのまま内部統制で効きます。
4. 申立てから制度の欠陥を見つけた経験
個別の救済で終わらせず、元の基準を直した経験が値になります。
県内・県外の求人を見るときに
三郷市は埼玉県の東南端にあり、東京都と千葉県に接しています。都心にも千葉方面にも出やすい位置なので、担当エリアの広い求人でも通勤の選択肢が残ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「審査請求を担当」では読み手に何も残りません。覆すときに何を根拠にし、その結果を元の部署にどう戻したか。
覆せなかった話を書く
おかしいと思っても、根拠が足りずに維持することがあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、処理した件数、対象となった処分の種類、関わった年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
低い土地の排水を見てきた技術者は、扱える人が限られる
内水の氾濫、排水機場、堤防、地盤の沈下。水がたまる土地を扱ってきた経験は、建設コンサルタントや防災関連の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。審査や用地に関わったなら、処理した件数、対象の面積、事業費、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 三郷市の一般行政職はラスパイレス指数99.4、平均給与月額371,938円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 地域手当以外は47,578円で、59団体で57番目。総額の12.8%です
- 草津市は112,935円で1番目、総額の25.2%。同じ区分のなかで倍近い開きがあります
- 平均給料月額は草津市と1,200円しか違わないのに、総額は76,277円離れます
- 差のほとんどを作っているのは、地域手当でも給料表でもなく、地域手当以外の65,357円です
- この部分は人によっていちばん大きく開くので、団体の平均が薄くてもあなたの額が薄いとは限りません
よくある質問
地域手当以外が57番目というのは、給与が低いということですか
団体として平均すると薄い、ということです。この部分は時間外の量や役職で決まり、同じ団体のなかでも人によって大きく開きます。平均が薄くても、あなたの額が薄いとは限りません。
草津市と給料月額がほぼ同じなのに、総額が76,277円違うのはなぜですか
地域手当以外が65,357円違うからです。地域手当の率の差4ポイントは、金額にすると12,120円ほど。差のほとんどは、給料表の外側で作られています。
諸手当65,938円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当6%の概算18,360円を除いた、47,578円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は12.8%です。