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栃木市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
栃木市と大垣市は、同じ類似団体類型区分で、地域手当も同じ3%です。
平均給料月額の差は900円しかありません。
それでも平均給与月額は24,296円離れます。そして、その差の96.2%が「地域手当以外」で作られています。
栃木市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、栃木市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 栃木市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.6(72団体で18番目) |
| 平均年齢 | 44.0歳(72団体で13番目) |
| 平均給料月額 | 334,600円(72団体で6番目) |
| 諸手当月額 | 82,983円 |
| 平均給与月額 | 417,583円(72団体で9番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 367,408円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
地域手当3%を給料月額にかけると、概算で10,038円です。諸手当82,983円からこれを引くと、残りは72,945円。総額の17.5%になります。
条件を揃えた2市の差を、分解する
| 項目 | 大垣市 | 栃木市 | 差 |
|---|---|---|---|
| 類似団体類型区分 | 同じ | 同じ | — |
| 地域手当 | 3% | 3% | — |
| 平均年齢 | 42.9歳 | 44.0歳 | 栃木が1.1歳上 |
| ラスパイレス指数 | 99.5 | 98.6 | 大垣が0.9ポイント上 |
| 平均給料月額 | 335,500円 | 334,600円 | 大垣が900円上 |
| 地域手当の概算 | 10,065円 | 10,038円 | 大垣が27円上 |
| 地域手当以外 | 96,314円 | 72,945円 | 大垣が23,369円上 |
| 平均給与月額 | 441,879円 | 417,583円 | 大垣が24,296円上 |
総額の差24,296円のうち、23,369円が地域手当以外です。96.2%になります。
給料月額の差900円と地域手当の差27円を足しても、927円にしかなりません。
この連載では、総額の差が何で作られているかを何度も分解してきました。同じ向きに積み上がる例で、ここまで一方に寄ったのは初めてです。
年上のほうが、給料月額が低い
もうひとつ、この2市には気になる点があります。
栃木市のほうが1.1歳年上なのに、平均給料月額は900円低い。
宇部市職員の転職で出した1歳あたり約5,288円という目安をあてはめれば、栃木市のほうが5,000円ほど高くてもおかしくありません。実際には900円低い。
年齢で説明できるのは、ここまでです。
そして指数は大垣市が0.9ポイント上。指数の向きと年齢の向きが逆で、給料月額はほぼ並ぶ。
結局、差を作っているのは給料表でも年齢でもなく、給料表の外側でした。
県内の数字は栃木県職員の転職に、同じ県の市は小山市職員の転職に、同じ3%の市は大垣市職員の転職と東広島市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
栃木市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 災害対応、罹災証明、支援金の支給 | 危機管理、事業継続、査定業務 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 河川・排水の管理、治水 | インフラ管理、施設保全 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「壊れたものではなく、暮らしに払う」実務
栃木市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
被災者生活再建支援法第1条は、この法律が、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給するための措置を定めることにより、その生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的とすると定めています。
「生活基盤」であって、建物ではありません。
「生活の再建」であって、建物の修理ではありません。
支給するのは、壊れた物の代金ではないということです。
そして、お金の出どころも変わっています。「都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金」。被災していない都道府県も、あらかじめお金を出しています。
次にどこが被災するか分からないので、全員で先に積んでおく。
実務は、次のような形になります。
- 被害の程度を、決められた基準で判定する
- 判定は、その場の同情では動かせない
- 同じ壊れ方でも、生活の立て直し方は人によって違う
- それでも、支給の区分は決まっている
- そして、区分の境目にいる人から必ず問い合わせが来ます
企業でも、同じ構造の仕事があります。
保険金の査定、保証の適用判断、返品や交換の可否、社内の見舞金や補償、取引先への補填。どれも「決められた基準で判定する」ことと「相手の事情は一人ずつ違う」ことの間に立ちます。
そして多くの企業で、こうなります。基準は文書になっています。ところが、境目の扱いが書かれていません。
だから担当者が個別に判断し、似た事案で違う結論が出ます。そしてあとから「あの人は認められたのに」と言われます。
基準を作った人は、境目のことを考えていません。境目を毎日見ているのは、判定する人だけです。
求人票では、査定、保険金支払、カスタマーサポート、品質保証、リスク管理といった名前で書かれています。
書くときのこつは、判定した件数だけを書かないことです。基準のどこが境目になりやすいと気づいたか、その境目をどう扱うと決めたか、決めたことをどう共有したか、そして同じ判断が繰り返せるようになったかをどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
栃木で、どの経験が値になるか
1. 基準の境目を扱った経験
文書に書かれていないところを、書かれている形にした。これができる人は企業にほとんどいません。
2. 同じ判断を繰り返せるようにした経験
担当者が替わっても同じ結論が出る。ここまで持っていった経験は強く読まれます。
3. 断る説明をした経験
基準に届かないと伝える。この場面を通った経験は、査定やサポートでそのまま効きます。
4. 平時に備えを積んだ経験
起きていないうちに準備しておく仕事は、成果が見えにくく、評価もされにくい。それでも続けた経験には重みがあります。
県内・県外の求人を見るときに
栃木市は栃木県の南部にあり、県内では面積が最も広い市です。県南から北関東を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「罹災証明を担当」では読み手に何も残りません。基準のどこが境目になりやすいと気づき、どう扱うと決めたか。
割り切れなかった話を書く
基準どおりにしたが納得してもらえなかった場面。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、判定の件数、支給の件数、対応にかかった期間。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
水を相手にしてきた技術者は、扱える人が限られる
河川、排水、遊水地、内水の氾濫。流れる水を扱ってきた経験は、建設コンサルタントや設備・防災関連の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。災害対応や支援に関わったなら、判定の件数、支給の件数、対応にかかった期間、予算の規模で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 栃木市の一般行政職はラスパイレス指数98.6、平均給与月額417,583円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 大垣市とは同じ区分・同じ地域手当3%で、平均給料月額の差は900円
- それでも総額は24,296円離れ、その96.2%が地域手当以外で作られています
- 栃木市のほうが1.1歳年上なのに、給料月額は900円低い。年齢では説明がつきません
- 地域手当3%の概算10,038円を引くと、残る72,945円(総額の17.5%)が人ごとに違う部分
- 地域手当以外は人ごとに違う部分なので、団体の平均が薄くても、あなたの額が薄いとは限りません
よくある質問
給料月額が900円しか違わないのに、総額が24,296円も違うのはなぜですか
地域手当以外が23,369円違うからです。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まる部分で、総額の差の96.2%を占めます。給料表の高さでも年齢構成でもありません。
栃木市のほうが年上なのに給料月額が低いのは、おかしくありませんか
おかしくはありませんが、年齢では説明がつきません。1歳あたり約5,288円という目安をあてはめれば栃木市のほうが高くてもよいはずですが、実際には900円低い。年齢は要因のひとつであって、すべてではありません。
諸手当82,983円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当3%の概算10,038円を除いた、72,945円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は17.5%です。