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安曇野市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
安曇野市の諸手当38,671円は、同じ類似団体類型区分の118団体のなかで99番目です。
この連載では、同じ区分・同じ長野県の市をすでに2つ扱っています。
その2市の諸手当は、75,670円と74,563円でした。
3市とも地域手当0%です。
安曇野市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、安曇野市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 安曇野市 | 118団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.2 | 50番目 |
| 平均年齢 | 41.8歳 | 58番目(高い側) |
| 平均給料月額 | 307,400円 | 75番目 |
| 諸手当月額 | 38,671円 | 99番目 |
| 平均給与月額 | 346,071円 | 86番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 329,301円 | 80番目 |
| 地域手当以外 | 38,671円 | 98番目 |
| 落ち幅 | 16,770円 | 93番目(小さい側) |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも0%です。したがって諸手当38,671円は全額が地域手当以外で、これは総額の11.2%にあたります。
同じ県の3市で、諸手当が1.96倍開きます
この区分にいる長野県の市を3つ並べます。
| 市 | 指数 | 給料月額 | 諸手当 | 総額 | 外側の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 佐久市 | 99.4 | 314,800円 | 75,670円 | 390,470円 | 19.4% |
| 飯田市 | 96.7 | 314,200円 | 74,563円 | 388,763円 | 19.2% |
| 安曇野市 | 97.2 | 307,400円 | 38,671円 | 346,071円 | 11.2% |
3市とも地域手当0%です。
指数は96.7から99.4まで、2.7ポイントの幅に収まっています。
給料月額も307,400円から314,800円まで、7,400円の幅です。
ところが諸手当は38,671円から75,670円まで、1.96倍開きます。
総額の差は44,399円になります。
外側が総額に占める割合は、11.2%から19.4%まで8.2ポイント違います。
さらに、安曇野市の指数97.2は飯田市の96.7より0.5ポイント上です。順位でも13ランク上。
それでも諸手当は、35,892円薄くなります。
同じ県でも、そろいません
この連載では、同じ県の団体がそろう例も見てきました。
沖縄県の4市は、外側の割合が1.1ポイントに収まっていました。
北海道の5市は、5.4ポイントでした。
長野県の3市は、8.2ポイント開きます。
この区分にいる長野県の団体は15あり、落ち幅は5,642円から52,402円まで開きます。
同じ県だから似ている、という読み方はできません。
動きは、ゆっくりです
1段目。指数50番目から、給料月額75番目へ。25ランク落ちます。
2段目。給料月額75番目から、総額86番目へ。11ランク落ちます。
3段目。総額86番目から、国ベース80番目へ。6ランク戻ります。
前回扱った市は、1段目で79ランク上がりました。
安曇野市は、どの段も30ランク未満です。
県内の数字は長野県職員の転職に、県内の市は長野市職員の転職・松本市職員の転職・佐久市職員の転職・飯田市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
安曇野市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 地下水・湧水の保全と利用調整 | 環境管理、資産管理、渉外 |
| 農業の振興、産地の支援 | 事業開発、調達、ブランド企画 |
| 合併後の施設の再編 | 資産管理、拠点企画、施設運営 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 観光の受入れ、景観の調整 | 事業運営、集客企画、渉外 |
| 都市計画、市街地の整備 | 都市開発、施設企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 移住・定住の相談窓口 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「1つの手が、2つの目的に効く」実務
安曇野市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
雨水の利用の推進に関する法律第1条は、この法律が、近年の気候の変動等に伴い水資源の循環の適正化に取り組むことが課題となっていることを踏まえ、その一環として雨水の利用が果たす役割に鑑み、雨水の利用の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、基本方針等の策定その他の必要な事項を定めることにより、雨水の利用を推進し、もって水資源の有効な利用を図り、あわせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与することを目的とすると定めています。
目的が2つ書かれています。
水資源を有効に使うこと。そして、一気に流れ出すのを抑えること。
やることは1つです。ためる。
普段は「使う」ために効きます。
大雨のときは「出さない」ために効きます。
同じ行動が、場面によって違う意味を持ちます。
実務は、次のような形になります。
- 1つの手で2つの問題に効くなら、効率がいいはず
- ところが、担当する部署が2つある
- どちらの部署も、自分の指標で効果を測る
- どちらの指標でも、単独でやるより効果が小さく見える
- そして、どちらの部署からも「主役ではない」と扱われます
企業でも、まったく同じ問題があります。
問い合わせを減らす改修、手順を共通化する仕組み、教育を兼ねた文書、採用にも広報にも効く発信。どれも「2つに効くのに、どちらでも一番にならない」という形になります。
そして、多くの場合こうなります。
提案します。両方の部署が「いいですね」と言います。
予算の話になります。
どちらも、自分の予算でやるほどの効果はないと判断します。
効果が半分ずつだからです。
合わせれば大きいのに、合わせる場がありません。
数年後、同じ提案がまた出ます。
2つに効くものを1つの案件にまとめる仕事は、どちらの成果でもありません。
そのぶん、やった人は「何の担当なのか分からない」と言われます。
それでも、やった人がいた施策だけが、実際に動いています。
求人票では、事業企画、経営企画、業務設計、企画管理、サービス企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業を担当したと書かないことです。どの2つに効く手だったか、それぞれの効果をどう測ったか、費用を誰が持つと決めたか、そして合計でどれだけになったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
安曇野で、どの経験が値になるか
1. 効果を足し合わせて示した経験
別々に測られていた効果を1つの数字にまとめた経験は、企業にほとんどありません。
2. 費用の持ち方を決めた経験
2つの部署にまたがる費用を、誰がどれだけ持つと決めた経験は、めったに書かれません。
3. 主役でない施策を通した経験
どちらの部署の一番にもならない案件を、それでも通した経験は、そのまま事業企画の話になります。
4. 合併した市の施設を整理してきた経験
同じ役割の施設が複数あるところから減らしてきた経験は、どの職種でも強く読まれます。
県内・県外の求人を見るときに
安曇野市は長野県の中部にあり、北アルプスの東側で大糸線と長野自動車道が通ります。松本方面はもちろん、長野市方面も選択肢に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「水資源対策を担当」では読み手に何も残りません。どの2つに効く手で、費用を誰が持つと決めたか。
通らなかった話を書く
効果はあるのに予算がつかなかった案件。そこで何を変えたかまで書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、扱った施設数、面積、続いた年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
地下水に依存する土地を扱ってきた技術者は、扱える人が限られる
湧き出す水の量の変化、くみ上げと涵養の釣り合い、扇状地の水の流れ方。目に見えない水の量を前提に、施設を設計し維持してきた経験は、建設コンサルタントや上下水道、食品の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。水資源や施設の再編に関わったなら、扱った施設数、水量、面積、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 安曇野市の一般行政職はラスパイレス指数97.2、平均給与月額346,071円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- この区分にいる長野県の3市(佐久・飯田・安曇野)は全部地域手当0%。指数は2.7ポイント、給料月額は7,400円の幅に収まります
- それでも諸手当は38,671円から75,670円まで1.96倍開き、総額の差は44,399円になります
- 安曇野市の指数は飯田市より0.5ポイント上、順位でも13ランク上。それでも諸手当は35,892円薄い
- 沖縄県の4市は1.1ポイント、北海道の5市は5.4ポイント。長野県の3市は8.2ポイント開きます
- 諸手当38,671円は全額が地域手当以外。総額の11.2%が、人ごとに違う部分です
よくある質問
同じ県・同じ区分なのに、なぜこれだけ違うのですか
この調査からは分かりません。分かるのは、3市とも地域手当0%で、指数は2.7ポイントの幅に収まるのに諸手当は1.96倍開いている、という事実だけです。
諸手当が薄いと、手取りも少ないのですか
平均でみればそうなります。ただし諸手当は時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で人ごとに変わります。平均の順位ではなく、自分の源泉徴収票の金額で比べてください。
諸手当38,671円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当が0%なので、38,671円が全部です。総額に占める割合は11.2%で、この連載で扱ってきたなかでも狭い側にあたります。