自治体別 / 市
飯田市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
飯田市のラスパイレス指数96.7は、同じ類似団体類型区分の118団体のなかで63番目です。
前回扱った同じ県・同じ区分の市は、指数99.4で11番目でした。
52ランク違います。
ところが平均給料月額は、600円しか違いません。
飯田市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、飯田市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 飯田市 | 118団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 96.7 | 63番目 |
| 平均年齢 | 42.5歳 | 41番目(高い側) |
| 平均給料月額 | 314,200円 | 50番目 |
| 諸手当月額 | 74,563円 | 6番目 |
| 平均給与月額 | 388,763円 | 17番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 336,361円 | 58番目 |
| 地域手当以外 | 74,563円 | 5番目 |
| 落ち幅 | 52,402円 | 3番目(大きい側) |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも0%です。したがって諸手当74,563円は全額が地域手当以外で、これは総額の19.2%にあたります。
指数が52ランク違って、給料月額が600円差
前回扱った佐久市と並べます。同じ長野県、同じ区分です。
| 項目 | 佐久市 | 飯田市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.4(11番目) | 96.7(63番目) | 2.7/52ランク |
| 平均年齢 | 42.1歳 | 42.5歳 | 0.4歳 |
| 平均給料月額 | 314,800円(46番目) | 314,200円(50番目) | 600円 |
| 諸手当月額 | 75,670円(3番目) | 74,563円(6番目) | 1,107円 |
| 平均給与月額 | 390,470円(14番目) | 388,763円(17番目) | 1,707円 |
| 落ち幅 | 48,846円(6番目) | 52,402円(3番目) | 3,556円 |
指数は2.7ポイント、順位では52ランク違います。
それでも給料月額は600円差。順位では4ランク差です。
総額の差は1,707円。
そして落ち幅は、指数が下の飯田市のほうが大きくなります。
この連載で100本目に扱った市で出した結論は、こうでした。
指数から金額は読めない。分かるのは順位の大小だけ。
同じ県・同じ区分の2市で、その通りのことが起きています。
落ち幅が3番目に大きい市です
落ち幅は、総額から国ベースを引いた差です。
飯田市は52,402円で、118団体のなかで3番目に大きい数字になります。
地域手当は0%です。
この区分は118団体のうち112が0%なので、落ち幅の上位に0%が並ぶこと自体は当たり前です。
見るべきなのは、その112団体のなかでの開きのほうです。
いちばん大きい京丹後市は83,613円。いちばん小さい長和町は5,642円。
どちらも0%で、14.8倍開きます。
長和町は、飯田市と同じ長野県の団体です。
県内の数字は長野県職員の転職に、県内の市は長野市職員の転職・松本市職員の転職・上田市職員の転職・佐久市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
飯田市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 地籍調査、境界の確定 | 用地取得、資産管理、法務 |
| 山林・農地の保全と利用調整 | 用地開発、渉外、事業開発 |
| 果樹など産地の支援 | 事業開発、調達、ブランド企画 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 文化の催しの企画と運営 | 事業運営、集客企画、渉外 |
| 都市計画、市街地の整備 | 都市開発、施設企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 移住・定住の相談窓口 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「調べること自体が目的」の実務
飯田市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
国土調査法第1条は、この法律が、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図るため、国土の実態を科学的且つ総合的に調査することを目的とすると定めています。
目的が、調査することで終わっています。
調べた先に何をするかは、書かれていません。
書けないからです。
調べた結果は、開発にも、保全にも、利用にも使われます。
先に用途を1つに決めると、その用途に合う項目しか調べなくなります。
実務は、次のような形になります。
- 調べる話を出すと、「何に使うのか」と聞かれる
- 答えないと、予算がつかない
- 答えると、その用途に合う項目だけを調べることになる
- 数年後、別の用途で使おうとすると、項目が足りない
- そして、もう一度調べ直すことになります
企業でも、まったく同じ問題があります。
実態調査、棚卸し、顧客の名簿の整理、資産の把握、業務の洗い出し。どれも「何に使うのか」を先に聞かれます。
そして、多くの場合こうなります。
調べたいという話が出ます。
目的を聞かれます。
説明しやすい目的を1つ選びます。
その目的に合う項目だけを集めます。
終わったあと、別の部署が同じ対象を別の目的で調べます。
同じ相手に、2回聞くことになります。
用途を決めずに調べておく仕事は、成果が見えません。
そのぶん、やった人は「何のためにやったのか」と言われます。
それでも、やった人がいた分野だけ、あとから判断ができます。
求人票では、事業企画、データ基盤、業務設計、資産管理、経営企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、調査を担当したと書かないことです。何を、どの範囲で、どの粒度で調べたか、用途を決めずに残した項目はどれか、そしてその項目があとで何に使われたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
飯田で、どの経験が値になるか
1. 用途を決めずに調べておいた経験
あとで効くと判断して項目を残した経験は、企業にほとんどありません。
2. 粒度を決めた経験
どこまで細かく調べるかを決めた経験は、そのままデータ設計の話になります。
3. 調べた結果が使われた場面を言える経験
何年後に、どの判断に使われたかを追った経験は、めったに書かれません。
4. 境界や権利が絡む相手と話をまとめてきた経験
利害が正面からぶつかる相手と合意を作ってきた経験は、どの職種でも強く読まれます。
県内・県外の求人を見るときに
飯田市は長野県の南部にあり、飯田線と中央自動車道が通ります。伊那方面はもちろん、名古屋方面や静岡県方面も選択肢に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「地籍調査を担当」では読み手に何も残りません。どの範囲を、どの粒度で調べると決めたか。
まとまらなかった話を書く
話し合ったのに境界が決まらなかった件。そこで何を変えたかまで書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、調べた面積、関わった地権者数、続いた年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
急な斜面に市街地と集落が散らばる市を扱ってきた技術者は、扱える人が限られる
高低差の大きい道路と水路、斜面の崩れへの備え、離れた集落ごとに必要な施設。平らな場所がほとんどない地形で、施設を設計し維持してきた経験は、建設コンサルタントやインフラの各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。調査や用地に関わったなら、調べた面積、関わった人数、件数、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 飯田市の一般行政職はラスパイレス指数96.7、平均給与月額388,763円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 前回扱った佐久市とは指数で52ランク違うのに、給料月額は600円差です
- 総額の差も1,707円。そして落ち幅は、指数が52ランク下の飯田市のほうが3,556円大きい
- 落ち幅52,402円は118団体で3番目。ただしこの区分は112団体が0%なので、上位に0%が並ぶこと自体は当たり前です
- その112団体のなかでも落ち幅は5,642円から83,613円まで14.8倍開きます
- 諸手当74,563円は全額が地域手当以外。総額の19.2%が、人ごとに違う部分です
よくある質問
指数が52ランク違って給料月額が600円差というのは、どういうことですか
ラスパイレス指数は、国の給料表と比べたときの水準を示す指数で、金額そのものではありません。同じ区分のなかで順位の大小は読めますが、何ポイント違えば何円違う、という換算はできません。同じ県・同じ区分の2市で、それがはっきり出ています。
落ち幅が3番目に大きいのは、地域手当が0%だからですか
違います。この区分は118団体のうち112が0%なので、上位に0%が並ぶのは当たり前です。その112団体のなかでも落ち幅は5,642円から83,613円まで14.8倍開きます。率では決まりません。
諸手当74,563円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当が0%なので、74,563円が全部です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は19.2%です。