制度とお金 / 給与・手当
育児休業中の収入|給与と手当金の関係
育児休業に入ると、毎月の給与振込は止まります。代わりに何が、いつ、どれだけ入るのか。家計の見通しを立てるうえで、ここがいちばん知りたいところだと思います。
地方公務員の育児休業中は、給与は支給されず、収入は共済組合の育児休業手当金と育児休業支援手当金、条件を満たした場合の期末手当・勤勉手当になります。この記事では、手当金の額を標準報酬の日額から計算する手順、上限、期末手当・勤勉手当の扱い、税と掛金、退職手当への影響、転職した場合の違いを、条文で確かめられる範囲で整理します。
育児休業の期間(子が3歳まで)や承認の手続、休業中に転職する場合の選択肢は育児休業の制度に、復帰後の部分休業などは育児部分休業・部分休暇にまとめています。共済の給付と税は個別の事情で変わるので、自分の額は所属の共済組合と人事担当課で確かめてください。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。
育児休業中の収入は4つで組み立てる
| 収入 | 根拠 | 中身 |
|---|---|---|
| 給与 | 地方公務員の育児休業等に関する法律第4条第2項 | 支給しない |
| 育児休業手当金 | 地方公務員等共済組合法第70条の2 | 子が1歳(延長あり)に達する日まで、1日につき標準報酬の日額の100分の50(休業180日までは100分の67) |
| 育児休業支援手当金 | 同法第70条の3 | 要件を満たす場合、対象期間内の休業1日につき標準報酬の日額の100分の13 |
| 期末手当・勤勉手当 | 育休法第7条と条例 | 国の基準に準じた条例により支給できる |
給与が出ないことと引き換えに、手当金は給与ではなく共済組合の給付として支払われます。払う主体が違うので、振込の日や請求の手続も給与とは別になります。
育児休業手当金の額——標準報酬の日額から計算する
手当金の基礎は標準報酬の日額です。地方公務員等共済組合法第43条は、報酬月額にもとづいて標準報酬の等級と月額を定め、日額を月額の22分の1(5円未満切捨て、5円以上10円未満は10円に切上げ)としています。
条文の数字で、計算の組み立てを示します。
- 報酬月額が29万円以上31万円未満なら、標準報酬の月額は第19級の30万円(第43条の表)
- 日額は30万円÷22=13,636.36…円で、端数の処理により13,640円
- 休業180日までは100分の67で、1日あたり約9,138円
- 181日目以降は100分の50で、1日あたり6,820円
これは条文の組み立てを示した例です。自分の標準報酬の月額は、共済組合から届く通知や組合員向けのページで確かめられます。手当金の1円未満の扱いや支給の単位は共済組合の定めによるので、実際の額は請求の際に示される額で確かめてください。
上限があります。第70条の2第3項は、計算した額が「給付上限相当額」を超える場合は、その上限相当額を支給するとしています。上限相当額は、雇用保険法の育児休業給付の上限の考え方に合わせて、雇用保険法の規定による額を基礎に算定するとされ、その額は雇用保険法の規定によって変更されることがあります。標準報酬の月額が高い方は、上限に当たるかどうかを共済組合で確かめてください。
育児休業支援手当金——100分の13の上乗せ
第70条の3は、子の出生後の一定期間(対象期間)内の育児休業に、100分の13を上乗せする手当金です。主な要件は次のとおりです。
- 対象期間内に育児休業等をした日数が通算して14日以上(第1項第1号)
- 配偶者も、子の出生の日から起算して56日を経過する日の翌日までに、通算14日以上の育児休業等をしたこと(第1項第2号)。ただし、配偶者がいない場合、配偶者が雇用保険の適用事業に雇用される労働者でない場合、配偶者が産後休業をした場合などは、この要件は問われない(第2項)
- 対象期間は、産後休業をしなかった組合員は出生の日から起算して56日を経過する日の翌日まで、産後休業をした組合員は出生の日または出産の予定日を起点に112日を経過する日の翌日まで(起点は出生が予定日の前か後かで変わる。第5項)
- 同じ子についての支給は、休業の日数を合算して28日に達するまでなど、回数と日数の限度がある(第3項)
先ほどの例で、180日までの100分の67に100分の13が加わると、対象の日は標準報酬の日額の100分の80、1日あたり10,912円という組み立てになります。支援手当金にも上限相当額の定めがあります(第4項)。
期末手当・勤勉手当は、休業の時期で変わる
地方公務員の育児休業等に関する法律第7条は、育児休業中の職員に、国家公務員の育児休業等に関する法律第8条の扱いを基準として定める条例により、期末手当・勤勉手当を支給できるとしています。国の扱いは次のとおりです。
| 点 | 国の扱い |
|---|---|
| 支給の要件 | 基準日に育児休業をしていても、基準日以前6か月以内に勤務した期間がある職員には支給する(国家公務員育休法第8条) |
| 期末手当の在職期間 | 育児休業の期間の2分の1を除算(人事院規則9-40第5条第2項第2号)。承認期間の合計が1か月以下の育児休業などは除算しない |
| 勤勉手当の勤務期間 | 育児休業の期間を除算(同規則第11条第2項第2号)。1か月以下の育児休業などは除く |
6月と12月の基準日の前6か月に勤務した日があれば、休業中でも支給の対象になり、額は休業の期間に応じて減ります。期間の数え方は期末手当と勤勉手当に書いています。
税と掛金——手当金には税がかからない
地方公務員等共済組合法第52条は、租税その他の公課は、組合の給付として支給を受ける金品を標準として課することができないと定めています。ただし書で除かれているのは退職年金・公務遺族年金・休業手当金で、育児休業手当金と育児休業支援手当金は含まれていません。一般的な取扱いとしては、手当金に所得税や住民税はかかりません。
掛金は、育児休業等をしている組合員が組合に申出をしたとき、休業を開始した月から、休業が終了する日の翌日が属する月の前月まで徴収されません(第114条の2第1項第1号)。開始と終了が同じ月なら、その月の休業日数が14日以上の場合に免除されます(同項第2号)。
一方、住民税は前年の所得にもとづいて決まるので、休業中も納める必要があります。給与から差し引けない期間の納め方は、人事担当課と市区町村で確かめてください(住民税の記事)。
退職手当への影響——1歳までは3分の1
国家公務員の育児休業等に関する法律第10条は、育児休業の期間を退職手当法上の「現実に職務をとることを要しない期間」に当たるものとし、退職手当の在職期間から除算します。除算は、子が1歳に達した日の属する月までの期間は3分の1、それ以降は通常の休職月等と同じ2分の1です(同条第2項、退職手当法第7条第4項)。
地方公務員については、地方公務員の育児休業等に関する法律第8条が、国の扱いを基準として、職務に復帰した場合の給与と退職した場合の退職手当の措置を講じなければならないとしています。具体的な除算の割合は、所属の退職手当条例で確かめてください。
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転職するとどうなるか
1. 転職先では雇用保険の育児休業給付になる
民間企業に転職すると、育児休業中の収入は雇用保険の育児休業給付金になります(雇用保険法第61条の7)。共済の育児休業手当金は、同じ育児休業について雇用保険の育児休業給付を受けられるときは支給しないとされています(共済法第70条の2第4項)。
2. 転職直後の育児休業は、給付の要件に注意
育児休業給付金は、休業を開始した日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12か月以上あることが要件の1つです(雇用保険法第61条の7第1項)。国や地方公共団体の職員の一部は雇用保険の適用が除外されています(同法第6条第6号)。公務員の期間が雇用保険の被保険者期間として数えられない場合、転職してまもなく育児休業に入ると、要件を満たさない可能性があります。転職の時期と出産の予定が近い方は、ハローワークで自分の場合を確かめてください。
3. 休業の制度そのものも変わる
転職先の育児休業の期間や、入社1年未満の労働者の扱いは育児休業の制度に、休業中の転職の進め方は育児休業中の転職活動にまとめています。
手続きと期限
- 育児休業手当金の請求:共済組合へ。請求の時期と添付書類は共済組合の案内による
- 掛金の免除の申出:共済組合へ(第114条の2)
- 育児休業支援手当金:配偶者の休業の状況を示す書類が要ることがある。共済組合で確かめる
- 期末手当・勤勉手当:基準日前6か月以内の勤務の有無と、除算の見込みを人事担当課へ
- 住民税:休業中の納め方を人事担当課と市区町村へ
誤解されやすい点
「育児休業中も給与の一部が出る」と思い込む
育児休業をしている期間は給与を支給しません(育休法第4条第2項)。入るのは共済の手当金と、条件を満たした場合の期末手当・勤勉手当です。
「手当金は給与の67%」と思い込む
基礎は標準報酬の日額で(共済法第70条の2、第43条)、上限相当額もあります。給与の額面や手取りに67%を掛けた額ではありません。
「休業中はボーナスが出ない」と思い込む
国の扱いでは、基準日以前6か月以内に勤務した期間があれば支給されます(国家公務員育休法第8条)。額は在職期間・勤務期間の除算で減ります。
「手当金にも税金がかかる」と思い込む
共済の給付には、退職年金などを除き、租税その他の公課を課すことができません(共済法第52条)。
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まとめ
- 育児休業中は給与を支給しない(育休法第4条第2項)。収入は共済の手当金と、条件を満たした場合の期末手当・勤勉手当
- 育児休業手当金は、子が1歳(延長あり)に達する日まで、標準報酬の日額の100分の50(180日までは100分の67)。上限相当額がある(共済法第70条の2)
- 標準報酬の日額は月額の22分の1(第43条)。月額30万円なら日額13,640円で、180日までは1日約9,138円という組み立て
- 要件を満たすと、出生後の対象期間に100分の13の育児休業支援手当金が上乗せされる(第70条の3)
- 手当金には税がかからず(第52条)、掛金は申出により免除(第114条の2)。住民税は休業中も納める
- 退職手当の在職期間は、国では子が1歳までの期間は3分の1、それ以降は2分の1を除算(国家公務員育休法第10条)
- 転職すると雇用保険の育児休業給付になり、被保険者期間12か月以上などの要件がある(雇用保険法第61条の7)
よくある質問
育児休業手当金はいつ振り込まれますか
振込の時期は、共済組合の請求の手続と支給の単位によって決まり、給与の支給日とは別です。手当金は給与ではなく共済組合の給付なので、休業に入ってから請求し、その後に支給されるのが一般的です。休業に入った月は給与と手当金のどちらも振り込まれない期間ができることがあるので、家計の見通しには最初の数か月分の余裕を見込んでおくと安心です。請求の時期と添付書類は、所属の共済組合の案内で確かめてください。
夫婦で育児休業を取ると、手当金は増えますか
夫婦とも要件を満たせば、出生後の対象期間に限り、育児休業支援手当金として標準報酬の日額の100分の13が上乗せされます(共済法第70条の3)。組合員本人が対象期間内に通算14日以上、配偶者も出生の日から起算して56日を経過する日の翌日までに通算14日以上の育児休業等をすることなどが要件です。また、配偶者も育児休業をしている場合は、育児休業手当金の支給期間が子が1歳2か月に達する日までに延びる扱いがあります(第70条の2第2項)。配偶者が民間企業に勤めている場合は、配偶者側は雇用保険の給付になります。夫婦それぞれの勤務先と共済組合で確かめてください。
育児休業から復帰した後の給料は、休業前と同じですか
地方公務員の育児休業等に関する法律第8条は、国の扱いを基準として、職務に復帰した場合の給与の取扱いに関する措置を講じなければならないとしています。国では、育児休業をした職員が職務に復帰した場合の号俸について、部内の他の職員との権衡上必要と認められる範囲内で、人事院規則の定めるところにより必要な調整を行うことができるとされています(国家公務員の育児休業等に関する法律第9条)。自治体の調整の方法は給与条例と規則によるので、復帰前に人事担当課で確かめてください。昇給の仕組みは昇給の記事にまとめています。
出典
- 地方公務員の育児休業等に関する法律 第4条(育児休業の効果)/第7条(期末手当等の支給)/第8条(職務復帰後の給与等の取扱い)|e-Gov法令検索
- 国家公務員の育児休業等に関する法律 第8条(期末手当等の支給)/第9条(職務復帰後の給与の調整)/第10条(退職手当法の特例)|e-Gov法令検索
- 地方公務員等共済組合法 第43条(標準報酬)/第52条(公課の禁止)/第70条の2(育児休業手当金)/第70条の3(育児休業支援手当金)/第71条(報酬との調整)/第114条の2(育児休業期間中の掛金等の特例)|e-Gov法令検索
- 人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当) 第5条/第11条|e-Gov法令検索
- 国家公務員退職手当法 第7条第4項(在職期間の除算)|e-Gov法令検索
- 雇用保険法 第6条(適用除外)/第61条の7(育児休業給付金)|e-Gov法令検索